「まずパンチの強弱の打ち分けがない。今回はずっと強いパンチだった。単調だと相手に慣れられてしまうんです。相手が予測しないパンチを打てるかどうか。それに足首や膝が硬い。柔軟性が足りないために、打たれ弱い面が出てくるかもしれない。そしてスタミナ配分。アマチュアはたった3ラウンドだから、プロの長丁場にどう対応するか」

 リードパンチがうまく、フットワークが軽い相手をどう追い込んでいくかも未知数だという。

 当然のことながら、上に行けば行くほど相手が強くなる。世界を取ったカストロ戦の直後、竹原氏はこんな経験をしている。

「猛烈な吐き気と死にそうなほどの頭痛に襲われました。日本、東洋レベルではまったくなかった現象で、相手のパンチがそれほど強烈だったという証拠です」

 もし竹原氏自身が現役王者で、村田の挑戦を受けたらどんな試合になるか。

「激しい打ち合いでしょう。短いラウンドなら向こうのほうがうまいかもしれないけど、ラウンドを重ねれば崩せる。こっちは何度も苦しいラウンドを経験しているから、それを生かしてごまかしながら。いずれにせよ苦戦するでしょうね」

 竹原氏にここまで言わせてしまう村田。世界のボクシングシーンの一角を担う可能性のある男が出現したことを、喜びたい。

週刊朝日  2013年9月13日号