大腸がんの治療方針は、浸潤、深さ、遠隔転移の有無がポイント 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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大腸がんの治療方針は、浸潤、深さ、遠隔転移の有無がポイント

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 大腸がんは胃がんに次いで2番目に患者数が多いがんだ。しかし肺がんとは逆で、かかる患者数に対する死亡率は低い。がん研有明病院・消化器外科医長の福長洋介医師は、「大腸がんは増殖速度が遅めで転移しにくいものが多い」と話す。

 1.5メートルに及ぶ大腸は、口に近いほうから順に盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸で構成される。そのうちがんができやすいのはS状結腸と直腸で、全体の7割近くを占める。

 大腸の壁は5層からなり、がんは最も内側にある「粘膜」から発生し、徐々に深い層へと進行する。さらにリンパ節のほか、肝臓、肺など他の臓器に転移を起こしていく。

「治療方針を決める際には、がんが浸潤している深さと遠隔転移の有無がポイントになります」(福長医師)

 ごく早期であれば「内視鏡治療」が可能だ。一方、内視鏡治療が適用にならなくても、リンパ節転移のない粘膜下層までにとどまる「早期がん」なら、切除手術をすればほぼ治すことが可能だ。がんが固有筋層を超えて浸潤し、腸の外のリンパ節まで転移をきたしたIII期の「進行がん」では、手術のあとに抗がん剤を投与する「補助化学療法」が必要になる。福長医師は言う。

「多くのがんは遠隔転移のあるIV期になると抗がん剤による全身治療になりますが、大腸がんは手術と抗がん剤を組み合わせた治療が可能で、肝臓や肺などの転移病巣を手術で摘出することもあります。IV期の生存率は約40%で、他のがんに比べ、極めて高い数値です」

 手術はがんから5~10センチ離れた場所でがんを腸管ごと切り取ったあと、腸管同士を縫い合わせ、進行度に応じて転移の可能性のあるリンパ節も切除する。

 最近は開腹手術のほか、腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術をする病院も増えた。福長医師によると「大腸がんは腹腔鏡下手術に向いているがん」なのだという。

「高性能カメラからの拡大画像を見ながら緻密な操作ができるのがこの手術の強み。とくに直腸がんでは直視下では見えにくい骨盤の奥深いところでも神経や血管がよく見えます。小さい傷で体への負担が少ないというメリットもあります」

 ただし腫瘍が広い範囲に及んでいると、開腹手術にしたほうがいい場合もある。

「開腹と腹腔鏡下の比較は難しいところですが、安全で取り残しのないしっかりした手術をするには、手術をする医師がどちらに慣れているかによるのではないでしょうか」(福長医師)

 ガイドラインで腹腔鏡下手術が推奨されているのは固有筋層にとどまるI期までの結腸がんだが、治療範囲を拡大して実施している病院もある。2002年からは進行がんの腹腔鏡下手術も保険適用の対象だ。

 現在、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)で、進行がんに対する開腹手術と腹腔鏡下手術を比較する臨床試験が実施され、病例集積が終了し、結果待ちの段階という。また、ロボット手術も導入されつつある。

「大腸がんは比較的タチのいいがんなので、進行していても治る可能性が高い。悲観せずに治療に取り組んでほしいと思います」と福長医師は話している。

週刊朝日 2013年9月6日号


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