トヨタ車体の「コムス」 (写真:dot.編集部2012年10月CEATEC JAPAN会場で撮影)
トヨタ車体の「コムス」 (写真:dot.編集部2012年10月CEATEC JAPAN会場で撮影)

 「原付き以上、軽自動車未満」の新しい電気自動車「超小型車」が公道を走り始めた。トヨタ車体の「コムス」は、すでに昨年7月から売られている。希望小売価格は66万8千円から。1~2人乗りで、高齢者や子育て世代の女性が日常的な“足”として活用すると見込まれる。

 日産自動車の「ニューモビリティコンセプト」とホンダの「マイクロコミュータープロトタイプ」も開発が進む。トヨタが1人乗りで、日産とホンダは座席が前後に並ぶ2人乗り。サイズはだいたい長さ2.4メートル、幅1.3メートルほど。どちらも軽自動車の3分の2ぐらいで、普通の車の駐車スペースに3~4台駐車できるほどだ。

 この超小型車は省エネ化、CO2排出量の削減、高齢者が日々の買い物や通院で使える新しい移動手段の確保などを目的に、国土交通省が本格導入しようとしているものだ。「いま車は、買い物のほか送り迎えなどに使われることが多く、1日の走行距離もせいぜい10キロ。しかも、1~2人で利用することが多い」(国交省自動車局環境政策課の堀江暢俊氏)。つまり、一般的な使い方からすれば、4人乗りの軽自動車でも大きすぎる。そこで、1~2人乗りの超小型車というわけだ。

 特に、公共交通機関が少ない地方ではガソリンスタンドが相次いで廃業している。家庭で充電できる車であれば、近くにスタンドがなくても安心だ。ただ、車両の規格などは正式に決まっていない。今後2年ほど検討し、運転免許の区分(現在は普通免許が必要)などを決める。

 今年度は、国交省の補助を受けた全国15の自治体や民間企業が導入する。福島県では警察が震災被災地の仮設住宅を見回りする際に、香川県の豊島(てしま)では観光用として、本県では過疎地の足などとして活用される。

週刊朝日 2013年6月28日号