今年のボーナスは大いに期待できそうだ。アベノミクスや日本銀行の政策転換による円安・株高・金融緩和という「三つの波」に乗った「勝ち組」が大きく業績を伸ばしたからだ。しかし一方でこの波に乗り遅れて「負け組」となった企業も少なくない。

 経団連の調査を見ると、紙・パルプは5.48%減、繊維も4.87%減だった。つまり、「円安」が追い風ではなく逆風になった業種だ。輸出中心の企業にはよくても、原材料の多くを輸入する企業にとってはコスト高となってしまうからだ。紙・パルプの日本製紙と、繊維の帝人はそれぞれ7.7%、8.6%のマイナスとなった。

 同じような構造を持つ鉄鋼業界でも、中国企業の過剰生産で競争が激化し、鋼材価格が下落傾向にある。生き残りをかけて業界再編も迫られてきた。昨年10月に新日本製鉄と住友金属工業が合併して誕生したのが新日鉄住金で、粗鋼生産量で世界第2位となった。

 鉄鋼大手3社の決算で、営業利益が前年を下回ったことからわかるとおり、ボーナスも減少気味だ。新日鉄住金では、前身の新日鉄と比較すると前年と同じ60万円を確保したが、JFEスチールは4.3%減の56万円となってしまった。「前期、(日常的な活動での儲けを示す)経常利益が下がりました。保有している鉄鉱石や石炭などの原料の、いわゆる資産の評価額が下がったためです。ボーナスもそれに連動しました」(JFE)。

週刊朝日 2013年6月28日号