今も尖閣周辺で領海、領空侵犯を続けている中国。丹羽宇一郎前駐中国大使(74)はジャーナリストの田原総一朗氏との対談で、尖閣問題は解決しない、と断言した。

*  *  *

田原:中国は尖閣問題をどうしたいのでしょうか。

丹羽:彼らがいちばん望んでいるのは、国有化の棚上げか取り消しです。でも、それはできないと私は言っています。すでに登録され、国有化されていますからね。

田原:そうなると、尖閣問題はどうすれば解決できるのでしょう。

丹羽:領土や主権は国家にとって核心的なテーマです。領土問題を両国の話し合いで解決したというケースは、私は寡聞にして知りません。領土問題で白黒はっきり決着をつけようとすると、戦争以外に手段はありません。あとは、金銭による売買か、国際司法裁判所への提訴しかない。でも、尖閣問題ではもう一つ道があると思う。それは「休め」です。

田原:休んでどうするんですか。

丹羽:まず、頭を冷静にするために、中国が領海侵犯をしたときは日本は海上保安庁の船をここまで出すとか、戦争まで至らないよう、事前に暗黙のルールを作る。決して戦争はしないと約束して、両国で話し合いを始めるんです。

田原:話し合いを始めるのは賛成ですが、話し合いでは解決しないんでしょ?

丹羽:解決しなくていいんですよ、どうせ解決できないんだから。100年でも何年でも、永久に話し合えばいい。そのうち、尖閣諸島近海に眠る石油についても、良い知恵が出てくるでしょう。

週刊朝日 2013年2月15日号