自民党安倍晋三総裁が唱える大胆な金融緩和政策。それが実施された場合に予想される「安倍型インフレ」に備えて、庶民は資産防衛の手立てをどのように講じておけばいいのか。慶応義塾大学の小幡績(おばた・せき)准教授は、外貨建て資産への分散投資などをすすめる。

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 何もしないのは危険であると考えています。できる範囲で少しずつ行動してみては、いかがでしょうか。

 例えば、円の急落に備えて、資産のすべてを円建てで保有せずに、米ドルなど外貨建ての株式や債券などに分散することをおすすめします。

 資産インフレが起きることを考えると、国内の不動産や株式などに投資をするのもいいのですが、円安リスクがあるので、バランスが必要です。不動産については、少額で買いやすいREIT(不動産投資信託)もオススメです。

 日本株は、円安になれば、輸出企業を中心に一時的に上昇する可能性があります。その半面、中長期的には景気の悪化を見込んで、徐々に下がってくる可能性があるため、注意が必要です。

 住宅の購入を考えている人は、将来の金利上昇に備え、できるだけ長期の固定金利ローンを組んだほうがいいといえます。

週刊朝日 2012年12月7日号