京都市の下鴨神社近くの路上で起きた殺人事件で、同志社女子大学の教育・研究推進センター次長・天野祐一容疑者(59)が9月29日、殺人容疑で逮捕された。

 被害者は同じ大学の教務課係長・荒川孝二さん(36)。20日深夜、車で帰宅した荒川さんの胸などを、待ち伏せしていた天野容疑者が刃物で数回刺したとされる。

「数カ月ほど前から、(天野容疑者が)同僚女性に無言電話やつきまとい行為を繰り返していたらしい。荒川さんは女性から相談を受けていたようです」(捜査関係者)

 事件の2、3日前には、駐車場にとめた車の中で3人で約1時間話し合い、荒川さんが天野容疑者に注意していたという。これで逆恨みされたようだ。

 天野容疑者は文部省(現文科省)のノンキャリア出身。事件後に大学で開かれた緊急会議にも何食わぬ顔で出席していたという。大学関係者が話す。

「元官僚なので、学部や学科を新設したり科研費をぶんどったりするのに、文科省とのパイプ役になっていた。態度は横柄で、自分に非があっても素直に謝ることのできないタイプ」

 東京出身で妻子もいたが、単身赴任で一人暮らしだった。大学に取材を申し込むと、「女性が誰だか、私も分からない。警察にお任せしており、3人の間で何があったかを調査する予定は今後もない」(広報担当者)と、まるで他人事のような対応。折しも来年1月から始まるNHK大河ドラマ「八重の桜」では、同志社の創立者・新島嚢の妻・八重の生涯が描かれる。大学のこんな惨状を知ったら、創立者も嘆くのではないか。

週刊朝日 2012年10月19日号