週刊朝日では手術数という客観的なデータを病院選びの指標にしてもらうため、「手術数でわかる いい病院」という調査報道を10年前から継続して行っている。

 近畿地方の心臓手術数は、大阪勢の国立循環器病研究センター、大阪大学病院、岸和田徳洲会病院が上位を占めた。大阪府の泉南地域の心臓手術を数多く引き受けるのが、大阪3位の岸和田徳洲会病院だ。院長・心臓血管センター長を務める東上震一(ひがしうえしんいち)医師はこう話す。

「私たちは、24時間365日、患者を断らない医療を方針にして、緊急症例をすべて受け入れてきました。今後も救急救命センターをさらに充実させていきたいと考えています」

 東上医師は、同院で20年間、これまで通算で約6千例の手術を実施してきた。現在は、難易度の高い手術ができる医師3人と、その手技を受け継ぐ若い医師2人が日々研鑽(けんさん)している。

「以前は冠動脈バイパス術が、成人の心臓手術の約7割を占めていましたが、最近は大動脈瘤や弁膜症の手術が増えています。ここ数年の傾向としては、単独の冠動脈バイパス術が減り、弁膜症や大動脈疾患を同時に手術する複合手術が増えています。その理由は、CT(コンピューター断層撮影)を中心とした検査機器が進歩して、診断技術が格段に上がり、高齢者に対する手術が安全にできるようになったためです」(東上医師)

※週刊朝日 2012年8月10日号