エリザベス女王(86)の即位60年を祝う「ダイヤモンド・ジュビリー」のメーン行事が6月2日から4日間開かれ、クライマックスを迎えた。

 英王室は記念のサイトを設置して関連映像や写真を発信しているのだが、そこで日本の天皇陛下美智子さまが"特別扱い"されているのをご存じだろうか。

 5月18日にロンドン郊外のウィンザー城でエリザベス女王夫妻が主催した午餐(ごさん)会には20カ国以上の君主や王族が招待されたが、英王室がサイトに掲載した写真はわずか3枚。

 その1枚に、英王室の女性と談笑する両陛下の写真が選ばれているのだ。

 英王室に詳しい関東学院大学の君塚直隆教授は、写真についてこう解説する。

「両陛下と楽しそうに会話しているのはエリザベス女王の従妹のアレクサンドラ王女(75)。この写真は、日英の長い交流の歴史を映し出しています。というのも、第2次世界大戦で敵国となった日本の皇室と英王室の交流が再開するきっかけをつくつたのが、1961年に来日したアレクサンドラ王女だったのです」

 当時、24歳の美しいプリンセスの来日に日本中が熱狂し、国賓待遇で歓迎した。このとき、王女は明仁皇太子(現天皇陛下)ご一家が住む東宮御所を訪ね、ご夫妻にはテニスラケットとボールを、幼い浩宮(現皇太子)さまにはクマのぬいぐるみをプレゼントした。

 君塚教授が続ける。

「彼女が呼び水となって69年のマーガレット王女の来日につながり、71年の昭和天皇の訪英と75年のエリザベス女王の来日で皇室と英王室の交流は本格的に復活しました。この写真は両陛下と王女の友情や国同士の友好など、さまざまな物語を雄弁に語っています」

 あとの2枚は、ウィリアム王子の妻のキャサリン妃(30)とモナコのシャルレーヌ妃(34)の談笑場面と、エリザベス女王がオランダのベアトリックス女王と手を握り合う姿。

 君塚教授いわく、若くて人気のある2人の妃はサービスの意味でも掲載は必須であるし、次男が重体で入院中のベアトリックス女王については「大変なときによく来てくれた」というエリザベス女王からの感謝と励ましの意味があるという。

「写真を選んだのは王室の職員でしょうが、女王の意向はくんでいるはず。たった3枚の中に両陛下が選ばれたのは、心臓手術直後に訪英してくれた天皇陛下への感謝と、知性と品位をもって友情を紡いでくれた両陛下への親愛の証しなのでしょう」(君塚教授)

※週刊朝日 2012年6月15日号