字幕翻訳家・戸田奈津子さん 「ネットがやり玉に挙げると、名セリフは生まれない」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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字幕翻訳家・戸田奈津子さん 「ネットがやり玉に挙げると、名セリフは生まれない」

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 フランシス・F・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」を皮切りに、字幕翻訳家の第一人者として映画界になくてはならない存在となった戸田奈津子さん(75)。字幕は常に、映画ファンや原作ファンの厳しい目にさらされる。戸田さんも幾度も「意訳だ」と批判されてきたが、インターネットの普及が翻訳の世界に大きく影響を及ぼしているという。

*  *  *
 万人を喜ばせる字幕はまずありません。でも私は常にベストを尽くしている。そういう思いでいるので、批判をいちいち気にすることはありません。何事もそうでしょ。全員が褒める世の中なんて気持ち悪いわよ。

 いまはインターネットですぐやり玉に挙げるでしょう。あれは問題だと思います。翻訳が縮こまっちゃう。例えば「カサブランカ」の「君の瞳に乾杯」。あの原文には「瞳」も「乾杯」もまったく出てこない。でも、セリフとして画面にピッタリだから名セリフとして残るんです。いまそんな訳をしたら大変でしょうねえ。「どこに瞳なんて言葉があるんだ!」 って(笑)。

 映画はまずドラマを楽しむものであって、英語の勉強が第一じゃない。セリフのエッセンスを読みやすい日本語で表現し、人物の感情を伝えることが重要です。だからって、どんどん意訳をしてもいい、ということではありませんけどね。

※週刊朝日 2012年6月1日


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