5月11日がピークだった東証1部上場企業の決算発表。多くの企業は決算発表の際に、その次の期の売上高や経常利益(日常的な活動による儲け)といった自社の業績予想も公表する。

 会社側の業績予想には、業界や個別企業に特有の「クセ」があることはあまり知られていない。

 業績予想と結果の長期傾向を見れば、クセや業界の動向が浮かび上がり、投資だけでなく、業界分析に役に立つという。

 ということで週刊朝日では、新たな企業指標を設け、金融情報会社T&Cフィナンシャルリサーチに計算してもらった。

 新指標は、日経平均の算出に使われる東証1部上場の225社について、過去10年間の「会社予想」と「結果」を比較したものだ。

 これらの会社について、結果が会社予想を上回る、つまり自分が当初予想したよりも高い業績を上げられたら「勝ち」、低い業績なら「負け」とし、「勝率」を計算した。すると、高い勝率を誇る企業が浮かび上がってきた。

 勝率の上位を見て、まず目に留まるのが自動車や自動車部品の会社だ。

 勝率80%以上にデンソー、トヨタ自動車、スズキ、いすゞ自動車、日野自動車、ホンダと、ズラリと並んでいるのだ。歴史的な円高のあおりを受けた輸出企業の代表格だけに、意外と思われる方も多いのではなかろうか。計算を担当したT&Cの本吉亮氏が分析する。

「自動車メーカーは慎重に予想を立てるクセがあります。その自動車メーカーが大幅増益を予想しているのですから、今期は期待できるのではないでしょうか」

 例えば、トヨタの予想は168%増、ホンダは146.7%増と、かなりの急回復だ。

※週刊朝日 2012年6月1日号