投資助言会社「フジマキ・ジャパン」の代表を務める藤巻健史氏。"伝説のトレーダー"の藤巻氏も大学受験の結果次第で、「大臣になっていたかも」と長男に指摘されたという。

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 私は現役のとき、一橋大を受けて1次試験で落ちた。竹中平蔵元総務相と一橋大の受験同期なのだ。もっとも彼は同年、めでたく合格され、一橋大学にご入学。私は一橋学院に入学した。大学と学院は似て非なるもの。なにせ学院は予備校なのだから。

 受験に失敗した当時は、この世の終わりか?と落ち込んだ。しかし、私の結婚式のときには、司会のオオニシ先輩が「新郎のフジマキ君は1969年、名門・東京教育大学付属高校を卒業され、同年、世界に冠たる一橋"学院"にめでたくご入学されました」と、「学院」を強調しながら履歴を披露してくださった。これが「世界に冠たる一橋大学にめでたくご入学されました」では披露宴も沸かない。長い人生を振り返ってみれば、笑い飛ばせるほどのことでしかなかった。

 それ以上に、「浪人時代に死ぬほど頑張った」という経験こそが、将来の糧になった。現役で入学するよりよかったのかもしれない。だから今年、受験に失敗した諸君にはぜひ頑張ってほしい。

 と言ったら、長男ケンタが「それはそうかもしれないね。でもお父さんが現役で一橋大に入学していたら、その後ハーバード大に留学し、いまごろNASAの局長を務めていたかもしれないよ。竹中さんの代わりに大臣になっていたかも。そのほうが人生に満足したんじゃないの?」

 ま~、モノは言いよう、考えようだ。だから希望大学に現役で合格した諸君にも、もちろん、おめでとう、と言いたい。素晴らしい人生が君を待っている。

※週刊朝日 2012年4月13日号

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藤巻健史

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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