2012年大学入試で、見事合格を勝ち取った受験生のみなさん、おめでとう! 週刊朝日は全国トップ2151高校を対象に主要大学の合格者数を尋ねる調査を実施、大学発表分とあわせて合格者数を都道府県別に一覧表にまとめた。

 最大のトピックは東大後期日程で9人の合格者を出した開成(東京)が、前後期合わせて202人(現役139人)の合格者数となり、31年連続トップの座を保ったことだ。200人台の合格者は14年ぶり(前回は98年に205人が合格)、3回目である。

 今春卒業した学年の学年主任兼進路指導の石川勝也教諭によると、中高一貫校である同校は各学年の担任が新年度になるとそのまま持ち上がっていき、指導方針も「学校の中に、六つの学校がある」と言われるほど学年ごとに大きく異なるという。例えば携帯電話について、ある学年では全面的に禁止するが、別の学年では認めることもある。それらを中学1年の最初に決める。今春卒業した学年は、「持ってきてもいいが、教室では出すな」という方針だった。

「緩やかなルールにしましたが、それは生徒と教師の信頼関係です。ルールを守っていれば、注意することもないので、結果として親近感のある雰囲気が生まれました」(石川教諭)

 進路についても、生徒の自主性に任せ、学校側はほとんど関与しない。進路希望の把握も、クラスの担任次第で、遅いクラスは高校3年の秋に聞き取りをするだけ。しかし、将来の夢については、年1回の個人面談で必ず聞くようにしているという。

「高1のときの面談で、『宇宙関係に興味がある』と言った生徒に、外部の宇宙工学専門家を紹介したのです。すると、積極的にロケット実験にまで参加するようになり、最後には発射実験を見に秋田県まで行ってしまいました。また、中3のとき、校内の掲示板に、車を低燃費で走らせるのを競う『エコラン』というコンテストの案内をすると、生徒たちが自主的に参加して中学生の部で賞を取ってきました。その生徒らは、理科Ⅰ類などに合格しました」(同)

 もともと過酷な中学受験を勝ち抜いてきた学力ある生徒たちだ。受験テクニックではなく、学ぶ意欲や集中力を高める機会をたくさん与えることが重要なのだろう。

※週刊朝日 2012年4月13日号