昨年起きた東日本大震災で、被災地に寄付金や義援金を送った人も多いはず。2月16日から始まった確定申告では、所得税や住民税を大幅に減らせる可能性があるという。

「今回の確定申告の目玉はなんと言っても『寄付金控除』です。東日本大地震の被災地に義援金を送った人は、所得税と住民税が大幅に減額される可能性があります」(菊池美菜税理士)

 対象となるのは、被災した自治体への寄付金や、日本赤十字社と、中央共同募金会の「東日本大震災義援金」への義援金などだ。

 東京都中央区に住む中村信博さん(仮名・36歳)も、この税優遇を受ける一人。5万円の義援金で約4万円も取り戻すという。

 中村さんは、都内の中堅食品メーカーに勤め、年収は650万円程度。震災後の昨年5月に日本赤十字社の「東日本大震災義援金」に5万円を寄付した。

 今回申告すると、所得税で4800円が還付されるほか、住民税でも3万6110円が減額され、計4万910円の優遇を受けることになったという。義援金の約8割が戻ってきた計算になる。

 税理士の菊池氏に順を追って説明してもらおう。まず減税されるのは所得税だ。

「2千円を超える寄付をした人は、申告すれば必ず還付金が戻ってきます。5万円を寄付した場合、5万円から2千円を引いた4万8千円に所得税率をかけた金額が戻ってきます。中村さんは10%なので、4800円戻ってくることになります」

 さらに住民税も減る。この軽減幅がスゴイ。

 中村さんの場合、通常の4800円と、特例の「ふるさと寄付金」による3万1310円が住民税から引かれることになったのだ。

 中村さんには関係なかったが、もう一つ覚えておきたい特例がある。「税額控除」だ。

「中央共同募金会の『災害ボランティア・NPO活動サポート募金』に寄付した場合などでは、所得金額を少なくする所得控除か、納める税金から一定額を差し引く税額控除のどちらかを選択することができます。所得の低い人は税額控除を利用したほうが有利になります」

 日本人なら税金と関係なく義援金を贈りたいという人がほとんどだろう。しかし、これだけ税が減るのであれば、もう少し義援金を送ってもいいかなと思う人もいるのでは。

※週刊朝日 2012年2月24日号