◆返済のメド示し、学費貸与求める◆

 大出さんがやや気を許し、
〈学費や生活費も、付き合いを進めるうちに援助できるかも〉
 と返すと、すぐさま"本題"に踏み込む。木嶋被告が望んだ料理学校のコースに通うには、計約470万円の学費が必要だった。

 この点について、
〈車を売ろうと考えています。査定で学費と同額とでました。購入希望者が8月末に買うといってくれています〉
 としつつ、それだと学費の納入期限の1カ月先なので困っていると表明。お金のメドはあるのだが、少しの期間だけ援助してほしいとハードルを下げてみせ、
〈明日にも会えるなら会いたいです〉
 と提案している。

 この時点では、大出さんも被告の急ぎっぷりに戸惑ったようで、こんなメールを返している。

〈明後日なら。ずいぶん、急いでますね。明日から夜勤だし、気持ちの準備もあるし......〉

 ここで注目されるのは、木嶋被告の切り返し方だ。

〈こういうサイトは初めてで......。もしかして、会うまでに時間をかけるべきなのでしょうか。会ったことのない人とメールを交換する気にはなれなくて〉

 出会い系サイトで働いた経験のある女性によれば、これは120点満点の回答だと言う。

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