広瀬隆が改めて警告「東海地震の危機」

2011/03/21 15:38

--『原子炉時限爆弾』では、地球の内部構造から地震の起こるメカニズムを説き起こして、「原発震災」の危険性を訴えています。今なぜ、この本を書こうと思ったのですか。
 ここ数年、浜岡原発に近い御前崎が年々沈み込んでいるデータや、プレートのひずみの蓄積がわかる海底音波探査の結果などを見て、東海地震が近いのではと心配して調べていました。
 静岡の人たちに呼ばれた講演でそんな話をしようと思っていた矢先の昨年8月、駿河湾地震(M6・5)が起きたんです。とにかく浜岡原発のやられ方がひどかった。「これは心配だ」と思っていたら、太平洋を中心に地震が相次ぎました。
 昨年9月にはスマトラ沖(M7・6)、サモア(M8・0)、10月にはバヌアツ近海(M7・8)、今年2月のチリ沖はM8・8ですからね。これだけ地震が続いても、報道では「地震があった」としか言わないけれど、どう見ても太平洋プレートの動きが関連しているとしか思えない。「天災は忘れたころにやってくる」の「忘れたころ」とは、今ではないのか。そんな思いがありました。
--昨年8月11日の駿河湾地震は、浜岡原発がある静岡県御前崎市などで震度6弱。東名高速の路肩が崩れて、お盆の帰省客が足止めをくらいました。浜岡原発では4号機と5号機が緊急自動停止しました。
 浜岡原発の被害は、予想を超えるものでした。中でも耐震性がいちばん高いと言われていた5号機の揺れが最も激しくて、被害が集中しました。10センチから15センチの地盤沈下が起きて、原子炉で発生した蒸気を配管で引き込んで発電するタービンがある建屋は、コンクリートの壁にひびが入った。原子炉の核反応を止めるための制御棒を動かす駆動装置の一部も故障しました。今も点検が続いていて、5号機は止まったままです。
 あのときは長野にいたのですが、ドーンと大きな揺れが来て、テレビをつけたら震源地が駿河湾だというから、ぞっとしました。
 07年7月にはM6・8の新潟県中越沖地震が起きて、柏崎市で震度6強を記録し、想定を超える揺れに襲われた柏崎刈羽原発で変圧器が火災を起こすなど大被害が出ました。それでも、地震学的には小地震です。悲しいかな、あんなに怖い地震でも。
 M8・0から8・5と予想される東海地震は、立っていられないような激しい揺れが1分から2分続くといわれます。地震のエネルギーでいうと、昨年の駿河湾地震の178倍から1千倍もの大きさがある。安政東海地震(1854年、M8・4)では御前崎の周辺が1~2メートル隆起したことがわかっています。昨年の小地震でもあれだけひどくやられたのですから、1メートルも隆起したら原発の配管が持つわけがない。建物が傾いて、蒸気と高温の水が循環する配管はめちゃくちゃになってしまうでしょう。

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