これからは、高校球児や一般の人でさえも、岩手の菊池雄星がプロで活躍できるんだったら、おれらもできるだろうと思える、刺激になるような選手になりたいです。

 

 ――日本のプロ野球か、米国のメジャーか。一連の騒動を経て、日本を選択したのち、菊池は「価値観が変わるのが嫌だった」と語った。

 価値観を変えない。それが一番の決め手になりました。誰もやっていないことをやるのは確かに大事ですが、それだけで決めていいのかなあと。高校進学のときも、ただ勝つだけではなくて全員に認められて、勝って喜ばれるチームに入りたいと思って、あいさつからベンチワークまですべてが他校よりしっかりしている花巻東に決めました。そう考えると県外は考えの枠になくて。だから、高校卒業後の進路を決断するときも、日本で認められてからアメリカに行ったらいいんじゃないかと思いました。

 今は、メジャーのことはいっさい考えていません。西武ですべてを出し尽くすことだけを考えています。

 でも、野球人生が終わったら岩手に戻って中学校の教師になることは決めています。中学生の時期って、いちばんすれていたり、反抗期だったりするじゃないですか。そういう子供たちを指導して、いい選手を育てたいですね。

 

 ――高校からメジャーへ。その先駆者にはなれなかったが、これまでの立ち居振る舞いや言動を見れば、ある意味で高校球児、特に超高校級と言われる球児のイメージを変えてくれた開拓者だったように思える。

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