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明日25日にかけて10年に一度レベルの寒気が日本列島へ流れ込み、各地大雪や低温が予想されています。この先も厳しい寒さの日が続く見通しです。冬は、電力消費も大きい時期になります。なぜ冬になると電力需給のひっ迫が起きやすくなるのか、どの時間帯がひっ迫しやすいのかなど、天気と電力消費の関係について解説します。

冬の電力ひっ迫 この冬はどうなる? 急な寒さや雪の日に要注意

今日24日は、日本付近は次第に強い冬型の気圧配置となり、明日25日にかけて、日本の上空には強烈な寒気が流れ込む見込みです。
明日25日の寒気のピークには、上空約1500メートル付近でマイナス18℃以下の寒気が東北南部まで、九州南部や四国、関東南部にはマイナス15℃以下の寒気が流れ込むでしょう。これは10年に一度ともいえる強烈な寒気です。このため、広い範囲で大雪や厳しい寒さに見舞われる見込みです。

この先もまだまだ厳しい寒さの日が続く予想ですが、冬は電力需給のひっ迫が起きやすい時期であることをご存じですか?

昨年11月に経済産業省が発表した「2022年度冬季の電力需給対策」によると、この冬の電力は、安定供給に最低限必要とされている予備率3%を確保できる見通しです。
ただし、想定外の気温低下や電源の故障などが発生した際には、電力需給がひっ迫する可能性があると触れています。

1月下旬になり、そろそろ厳冬期を越えても良い頃のように思いますが、気象庁によると、この先2月初めにかけて強い寒気の影響を受ける見込みで、西日本、東日本、北日本の気温は「平年より低い」、日本海側の降雪量は「平年より多い」見込みです。大雪や低温に注意、警戒が必要であり、電力ひっ迫の可能性も少なからずあると考えられます。

電力需給がひっ迫すると、大規模停電(ブラックアウト)のリスクが高くなります。必要な場所・人へ電力を供給することができなくなり、場合によっては命の危険もあります。

電力需給ひっ迫しやすいのは平日?休日? 時間による違いは?

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平日と休日では、多くの電力を使用する工場やオフィスが稼働している「平日」の方が、よりひっ迫しやすいと言われています。

1日の中でも電力需給がひっ迫しやすい時間があり、一番危険な時間帯は朝(8時~11時)と夕方(16時~19時)です。
朝は、多くの方が起床して行動開始し、工場やオフィスの稼働開始時刻にも重なるため電力消費が大きくなります。
夕方は、家の外で活動していた方が帰宅し、家の中で電気を点けたり料理をしたりするなど、電気を使用した活動が活発になります。特に、まだ工場やオフィスが稼働している時間と重なる16時~19時にかけてはより多くの電力が使われます。
これらの時間帯は1日の中でも気温が低い時間帯にあたり、暖房器具を使う方が多いです。さらに、晴れていれば昼間に太陽光による発電が期待できるものの、曇天時や降雪時は昼間も日差しが少なく、太陽光による発電量が少なくなるため、より電力需給がひっ迫しやすいです。

自然エネルギーの影響も

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1年の中でも電力消費が多くなるのは、屋外と屋内の気温差が大きい時期になります。つまり、夏と冬です。

東日本大震災前の2010年までは、日本のエネルギー供給の中で太陽光発電を含む「自然エネルギーを使用した発電」の割合は5%未満でしたが、現在は約10%にまで増えています。自然エネルギーによる発電は、温室効果ガスを排出せず国内で生産できるというメリットがある一方、発電量が季節や天候に左右されやすく、化石燃料をエネルギー源とする発電と比べ、安定した発電が難しくなります。
冬は、日の出から日の入りまでの時間が少なく、太陽光発電の発電量は夏に比べて少ないうえに、太陽光発電が減少する曇りや雨の日には、暖房や照明をより多く使用し需要が増加するため、電力需給がひっ迫する可能性はより高くなります。
「自然エネルギーを使用した発電」は、今後さらに進むと考えられるため、これまで以上に、季節や天候に合わせた電力の需給調整を行っていく必要がありそうです。

【参考】
経済産業省 自然エネルギー庁「日本のエネルギー」

「電力需給ひっ迫警報・注意報」とは

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電力需給状況が極めて厳しくなると予想される際に「電力需給ひっ迫注意報・警報」が発表されます。前日の午後4時段階で翌日のエリアの需給状況がひっ迫し、予備率が5%を下回る場合に「電力需給ひっ迫注意報」が、予備率が3%を下回る場合に「電力需給ひっ迫警報」が発令されます。
前日の段階で「電力需給ひっ迫注意報」が発表されていたとしても、現状の見通しよりもさらに気温が低下したり、突然の電源トラブルが起きたりする場合、予備率が最低限必要な3%を下回り、「電力需給ひっ迫警報」が発令されることもあります。

※「予備率」とは、エリアの需給状況を示す指標です。予想される供給力から最大需要(最大電力使用量)を差し引いて、その値を最大需要で割った値です。電力の安定供給のためには、最低でも予備率が3%以上確保する必要があるとされています。

この記事はtenki.jpとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。