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7月1日から3日にかけて静岡県や神奈川県を中心に大雨が降り、静岡県熱海市では大規模な土砂災害が発生しました。日本気象協会では、この期間の降水量について解析を実施。その結果、熱海市だけでなく、静岡県から神奈川県の広い範囲で過去最大の降水量を上回る降水があったことがわかりました。

静岡県東部の広い範囲でこれまで経験したことのない大雨 どこで災害が発生してもおかしくなかった

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7月1日から3日にかけて静岡県や神奈川県を中心に大雨が降りました。3日には静岡県熱海市で大規模な土砂災害が発生しました。

日本気象協会では、国土交通省の解析雨量(1kmメッシュ)を使用し、6月30日0時から7月4日0時にかけての降水量を解析しました。

この図は、今回の大雨における72時間降水量と、その降水量がそれぞれの場所において過去最大の72時間降水量と比較して何割に達したのか、ということを示しています。これが100%前後に達すると、甚大な被害の発生する可能性が高まるという研究結果があります。

解析結果によると、熱海市以外にも静岡県東部の広い範囲で、これまで経験したことのないような大雨が降り、甚大な被害が発生してもおかしくない状況であったということがわかります。

熱海市の降水量は過去最大の降水量の1.3倍

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実際に大規模な土石流が発生した熱海市の降水量を見ると、48時間降水量と、72時間降水量が、過去最大の降水量を上回ったことがわかりました。

特に、72時間降水量は過去最大の降水量の1.3倍となり、比較的長い時間の降水量が多くなっていたことがわかります。

熱海市 土石流発生直前に30~40ミリの激しい雨が降っていた

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熱海市の土石流発生地点の降水量を時系列で見ると、降り始めてから48~72時間にわたって時間雨量20mm以下の比較的弱い雨が降り続いていたことがわかりました。

ただし、土石流が発生した10時30分の2時間半ほど前には1時間40mmの激しい雨が降り、さらに土石流発生直前の10時台にも1時間30mmの雨が降っていたことがわかり、この比較的強い雨が引き金になった可能性があると考えられそうです。

今回の事例のように、2~3日かけて10~20mm程度の長雨が続いたときは、避難のきっかけがつかみにくいという性質があります。しかし、長時間の雨で地盤が緩んでいると、短い時間のやや強い雨が降っただけでもそれが土砂災害の引き金になることがあります。長時間雨が続いていて、自治体から避難情報が出ているときは、油断せずに避難を続けるようにしましょう。

このあとも油断禁物 土砂災害の予兆を確認

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雨が続いて地盤が緩んでいるときは、特に意識して情報を収集するようにしてください。

雨が降り出したら、気象情報を確認して避難に備えましょう。雨の状況に応じて段階的に、注意報や警報などが発表されます。「大雨警報(土砂災害)」や「土砂災害警戒情報」が発表されているときは、「土砂災害警戒判定メッシュ情報」などで危険度が高まっている地域を確認しましょう。自治体から「高齢者等避難」が発令されれば、主要な指定緊急避難場所が開設され始めます。土砂災害の発生時間や場所などを予測するのは難しく、自治体で発令する避難情報が間に合わない可能性もあるため、早め早めの行動を心がけましょう。

土砂災害の前兆現象は以下の通りです。

・豪雨や長雨が続いている

・川が濁ったり、木が流れたり、土臭いにおいがしたりする

・降雨が続いているのに、川の水位が減少する

・斜面(崖)から物音がする、石が落ちてくる、水が浸みだす

・地面に亀裂や段差が生じる、木が傾いたり、地面が揺れたりする

・地鳴りがする

・いつもと違うことが起きる

以上のことに注意して、あたりを観察しましょう。