メイン画像
メイン画像

気象庁が23日に発表した3か月予報によると、気温は、11月は全国的に平年並みか高く、12月は沖縄・奄美、九州から関東は、平年並みか低くなり、1月も冬らしい寒さでしょう。

昨シーズンの冬(2019年12月~2020年2月)

昨シーズンの冬(2019年12月~2020年2月)は、日本付近における偏西風の北への蛇行などにより、寒気の南下が弱く、冬型の気圧配置が続きませんでした。全国的に高温で、日本の冬平均気温は、平年より+1.66℃と、冬として1898年の冬(1897年12月~1898年2月)の統計開始以降、最も高い記録を更新しました。

今後 冬にかけてラニーニャ現象続く可能性高い

画像B
画像B

気象庁が23日に発表した3か月予報によると、10月9日発表のエルニーニョ監視速報では夏からラニーニャ現象が発生しているとみられ、冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高いと予測しています。

ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低い状態が続く現象です。ラニーニャ現象が発生している時には、東風が平常時よりも強くなり、西部に暖かい海水がより厚く蓄積します。

画像C
画像C

このため、インドネシアやフィリピン付近の海上で積乱雲が一層盛んに発生します。この影響で、偏西風は蛇行が大きく、日本付近では南に蛇行し、寒気が日本付近に流れ込みやすくなります。

11月~1月の天候 12月は沖縄や西日本を中心に寒気の影響を受けやすい

11月は、日本付近は暖かい空気に覆われやすいでしょう。気温は、全国的に平年並みか高い見込みです。天候は、平年と同様に北海道や東北の日本海側では曇りや雨または雪の日が多く、北陸、近畿から九州の日本海側は曇りや雨の日が多いでしょう。北海道から九州の太平洋側は晴れる日が多い見込みです。沖縄・奄美では、曇りや雨の日が次第に多くなるでしょう。

12月は、沖縄や西日本を中心に寒気の影響を受けやすいでしょう。気温は、沖縄・奄美、九州から関東は、平年並みか低い見込みです。東北や北海道は、ほぼ平年並みでしょう。天候で平年と違う点は2つ。寒気の影響を受けやすい九州から近畿の日本海側は、平年に比べ曇りや雨または雪の日が多いでしょう。北海道や東北の太平洋側は、前線の影響を受けやすいため、平年に比べ晴れの日が少ない見込みです。

1月は、沖縄を中心に寒気の影響を受けやすいでしょう。気温は、沖縄・奄美、九州から関東は、ほぼ平年並みの見込みです。東北と北海道は、平年並みか高いでしょう。

過去のラニーニャ現象が発生していた冬(2017年12月~2018年2月)

2017年12月から2018年2月は、日本付近に断続的に強い寒気が流れ込みました。1月22日から23日明け方にかけて、南岸低気圧の影響で、普段雪の少ない関東甲信地方や東北太平洋側の平野部でも雪が降り、日最深積雪は東京都心で 23 センチ(22 日 24 時)、仙台市で19 センチ(23 日 3 時)など、広い範囲で大雪になりました。その後、冬型の気圧配置になり、全国的に気温が低い状態が継続。最低気温が北海道伊達市でマイナス 24.9 度(25 日 2 時 27 分)、さいたま市でマイナス9.8 度(26 日 6 時 46 分)など、観測史上 1 位の値を更新した。

この断続的に寒気が流れ込んだ要因のひとつとして、2017年秋から2018年春にかけて発生していたラニーニャ現象が考えられます。

冬の天候に大きな影響を与える北極振動 予測は難しい

冬の北半球の大気の大きな流れとして、北極振動があります。正の北極振動は、北極域で気圧が平年より低く、日本などがある中緯度で高くなります。この影響で、日本では温和な天候が続きます。昨シーズンの冬も、偏西風の北への蛇行だけでなく、正の北極振動も高温になったひとつの要因と考えられます。

負の北極振動は、北極域で気圧が平年より高く、中緯度で低くなります。この影響で、日本では寒気が流れ込みやすくなります。

この北極振動は予測が難しく、現時点では3か月予報に考慮されていません。

冬に向けての予測は難しくなっていますが、いずれにしても冬本番に向けて、少しずつ備えをしておくと安心です。車を運転される方は、冬用のタイヤを準備するなどしておくとよさそうです。