心地よい初夏の気候の5月。少し外で体を動かしてみるのには、絶好の気候ですね。東京・駒沢公園など大きな公園で、天気がよい日に見かけるのは若きスケートボーダーたちの姿です。かつて、ストリートカルチャーのひとつとしてアメリカから伝わり、日本に広まったスケートボード。最近ではストリートカルチャーとしてだけではなく、競技性の側面もより注目されるようになり、2020年開催の五輪正式競技にも選ばれました。いま注目のスケートボード……あらためて、どんなスポーツなのでしょうか?

2020年、どんなドラマが繰り広げられるでしょうか……
2020年、どんなドラマが繰り広げられるでしょうか……

スケートボードってどんなスポーツ?

もともとスケートボードの起源はサーフィンだったという説があります。ウィキペディアに記載された一文には「カリフォルニアのサーファーが、水を抜いたすり鉢状のプールで乗り始めた事から流行が本格化」とあります。
1960年代からマリンスポーツのサーフィンを、海ではなく陸上で練習できるようつくられたものがサーフィンだったようですが、ボードや車輪の材質をはじめ、練習方法が様々に変化する中で若者を中心に人気が広まり、1990年代になると音楽やファッション性と相まってストリートカルチャーとしての人気が高まっていったのです。
そして今日、五輪の正式競技に選ばれるほど「競技」としても注目を集めるようになったスケートボード。実際に五輪では次の2種目が行われます。
●街中にある階段や手すりなどを模したコースの「ストリート」
●お椀型の曲線的なコースで技を競う「パーク」
試合で行うトリック(技)に規定はなく自由。選手の独創性、どこまでチャレンジできるかがみどころとされています。

さまざまな障害が用意されいる「ストリート」
さまざまな障害が用意されいる「ストリート」

スケートボードにはどんな選手がいる?

やはり、レベルが高いのはスケートボード発祥の地でもあるアメリカ。男女ともに世界トップクラスの選手を多く揃えています。近年では、スペイン、フランスなどの欧州勢も力をつけ、さらに、ブラジルやオーストラリアでも若者を中心にスケートボード熱が高まっています。
なんといっても、スケートボードは10代後半から活躍する選手の多さが特徴ですが、日本でも若い有望選手が続々と出現しています。今年3月には、日本のスケートボード界初の強化候補選手たちを集めた合宿が行われたのですが、実はスケートボードには「コーチ」がいません。他のスポーツ合宿と比較するとそのスタイルは異例で、選手たちが切磋琢磨しながら技のレベルアップを図っていくものだったそうですが、これもストリートの「自由さ」からくる、スケートボードならではの特長といえるでしょう。

ストリートカルチャーから、五輪競技へ

ストリート系の若者が中心にやっている……。
かつては限られたカテゴリでのスポーツという印象が強かったスケートボードですが、世界のトップアスリートが集う、スポーツのビッグイベントにスケートボードが加わることに驚いた人も多いことでしょう。
スケートボードが五輪競技に加わった背景には、IOC(国際オリンピック連盟)のねらいがあるといわれています。今後、五輪が目指すのは「若者の取り込み」。若い競技者が多いスケートボードを競技種目に入れることで、若年層の五輪への興味を引こうという希望があります。実際に冬季五輪でも、スノーボードのように歴史の浅い競技によって新たな層を取り込もうとしています。このように今後はスポーツの多様化がいっそう進んでいくことが期待されます。
── 2020年東京で、スケートボードがどのようなおもしろさを魅せてくれるのかも見どころですが、彼ら、彼女たちが華麗にボードを操る世界最高ランクの技術を、私たちは音楽を聴くかのように、ともにリズムを体で刻むかのように楽しみたいものです。

ストリートカルチャーと五輪の融合に注目
ストリートカルチャーと五輪の融合に注目