本日はクリスマスイブ。クリスチャンでなくとも1年を共にしてきた家族や仲間に感謝して集まったり、年内最後の週を元気にすごすために美味しいものをいただいたりお部屋を整えたりされるのではないでしょうか?
クリスマスのお花といえば、赤と緑のクリスマスカラーの「シクラメン」や「ポインセチア」を思い浮かべる方も多いようです。黄色いベルの形をした「サンダーソニア」を思い浮かべた方もいるかもしれません。寒い季節に、凛とした薔薇のような花を咲かせる「クリスマスローズ」も有名ですね!
一方、南半球では、暖かい季節がクリスマスとなりますが、「クリスマスブッシュ」という赤と緑の花が楽しまれていたり、ベルの形のお花「クリスマスベル」などが親しまれているようです。本日は、北半球のクリスマスの花で代表的な「ポインセチア」「クリスマスローズ」「ヒヤシンス」に注目します。

ヒヤシンスの色によって花言葉が異なります。さてピンクは?
ヒヤシンスの色によって花言葉が異なります。さてピンクは?

ポインセチア:翌年も楽しむには?!

ポインセチアはクリスマスにかかせない赤と緑の花ですが、何故赤と緑なのでしょう?
緑はクリスマスの木として使われるもみの木やヒイラギが一年中緑から色を変えないことから永遠の命を象徴しています。また、赤はイエス・キリストが私達に永遠の命を与えるために流した血を表すことから、由来しています。
さて、ポインセチアは、赤の花と緑の花のように見えますが、実は色づいた部分は花ではないのはご存知でしたか?赤や白やピンクなど最近は様々な種類もありますね。これは苞(ほう)と呼ばれる部分で、本当の花のまわりにつくられます。花は苞の中心にある黄色い部分です。
野生種は軽い霜に当たっても枯れないぐらいの耐寒性がありますが、園芸品種は寒さに弱いので、最低温度10℃以上で管理しましょう。1年で枯らしてしまうことが多く、草花のように扱われていますが本来は低木です。沖縄などでは庭で数mほどに大きく育っているのを見かけることがあります。
ポインセチアは湿気を嫌います。水をやり過ぎると根腐れの原因になりますので、土の表面が乾いてから2〜3日後ぐらいがいいようです。水やりは、花や葉っぱにかからないように、根元にあげましょう。
翌年も楽しむためのコツは、咲き終わった花がらや黄色くなってしまった葉っぱは茎の部分を残して摘み取りましょう。
春になると、茎を半分くらいまで切り戻して、鉢に植え替えます。株を増やしたい場合は、6月頃に挿し木をするといいでしょう。6月から10月にかけて緑色の葉が出てくるようになります。ポインセチアは日が短くなると花芽ができる短日植物で、夕方から朝の8時ぐらいまでダンボールなどをかぶせて日光を遮り日が短くなったと勘違いさせる短日処理をするのが一般的です。
近年発表される園芸品種は、自然条件でも早くから色づくように改良されているものもあるようです。
参照
ポインセチアの育て方(NHKみんなの趣味の園芸)

クリスマスローズ:「雪起こし」「寒芍薬」などでおなじみの茶花

このクリスマスローズ、ヨーロッパから日本に伝わってきた時期は意外と古く移入植物の歴史上は江戸末期から明治初期の頃に遡ります。
「クリスマスローズ」の名称は、原産地のヨーロッパなどではヘレボルス属原種の1種類ニゲル(h.niger)をさし、ニゲルはヨーロッパで花の少ない冬の12月末、クリスマスの頃白い花を咲かせます。
そのようなことから「クリスマスの頃に咲くバラ」という意味で「クリスマスローズ」といわれています。また、このヘレボルス・ニゲルは「バラ科」ではなく実はキンポウゲ科の植物です。
日本ではなぜかこのクリスマスローズニゲルだけではなく、原種、交配種を問わずヘレボルス属全体を「クリスマスローズ」と呼ぶようになり、寒く花の少ない季節に可憐な花をつける植物として園芸家や茶人に愛されてきました。
下向きに咲く風情から茶席に似合うと茶人に取り上げられ、「初雪おこし」と名付けられました。また、現在最も市場流通が多いと言われている交配種のクリスマスローズガーデンハイブリットは、クリスマス以降、春にむけて花を咲かせるものも多く、和名「寒芍薬」で茶席に飾られます。
このほか、葉を八手に見立てた名称「八手花笠」、節分の頃から咲くための名称「節分草」でも親しまれています。このように、一つの花に様々な名前をつけて愛でる茶人の感性は素敵ですね!
ヨーロッパでは、交配種の種類は、気温が暖かくなったキリスト教の四句節(四月 レンテン節)のころに花を咲かせるので、「レンテンローズ」といわれています。

ヒヤシンス:クリスマスマーケットでおなじみの、高貴な香りの花

日本では10月〜12月に球根を購入し、水栽培や鉢植えなどで1か月以上寒さにあてた後、春に花をさかせるのが一般的です。幼少期に水栽培をして根を伸ばす様子を観察した記憶はありませんか⁉
北欧やヨーロッパでは、クリスマスの準備として、温室栽培などによって蕾を既につけた球根がクリスマスマーケットなどで売られているものを買ってきてクリスマスに花を咲かせる習慣があるようです。
寒い冬の間、暖かい室内で花を楽しめるのは大変魅力ですね。クリスマスの芽だし球根では白のヒヤシンスの他に、赤のアマリリスや薄水色のムスカリなども人気だそうです。ヒヤシンスをクリスマスツリーの下に置いて、クリスマスツリーが甘い香りに包まれるのも素敵でしょうね!
水栽培でお部屋で楽しめるのも魅力です。球根の底すれすれまで水を入れて、あとは水が腐らないよう週に1度ほど変えるだけ。家でゆっくり育てることができるのでお手軽です。近年ヒヤシンスの人気は上昇中ですので、店頭で花のさいているものがまだ入手できるかもしれません。液体肥料をあげると持ちがよいようですが、水栽培は水が腐りやすく注意が必要です。また、タネが出来て球根を弱らせないようにして、見た目も美しく保つために、枯れた花柄は摘んで楽しみましょう。
さて、ヒヤシンスの語源は、美青年ヒュアキントスのギリシャ神話を反映しています。
ヒュアキントスは太陽神アポロンと西風の神ゼピュロスの寵愛を受けていました。ヒュアキントスもまたアポロンに心ひかれていました。ある日、彼とアポロンが円盤投げをしていると、その親しげな様子を見たゼピュロスが嫉妬して意地悪な風を起こします。すると円盤の軌道が変わり、ヒュアキントスの額に円盤があたってしまいました。そして、大量の血を流して死んでしまったヒュアキントスのその血から紫のヒヤシンスの花が咲いたという伝説に由来します。
紫のヒヤシンスの花言葉は「悲しみ」「悲哀」「初恋のひたむきさ」です。
一方で、クリスマスに飾る 白いヒヤシンス(White Hyacinth)の花言葉は「控えめな愛らしさ」「心静かな愛」です。黄色いヒヤシンス(Yellow Hyacinth)は「あなたとなら幸せ」「勝負」、ピンクのヒヤシンス(Pink Hyacinth)は「スポーツ」「ゲーム」「しとやかなかわいらしさ」を意味するのだそうです。
参照
花言葉一覧

寒い季節にもかかわらず、華やかで生命力を表すクリスマスのお花たちは私たちに元気を与えてくれます。どうぞよい週末をお過ごし下さい!