ここ数日すっかり本格的な冷え込み。何か暖かくて美味しい滋養のあるものをいただきたくなりますね。
もうすぐ冬至。2016年の冬至は12月21日です。冬至には、柚子湯にはいり、南瓜(かぼちゃ)を食べると、冬の間は風邪をひかないといわれます。
この季節に「かぼちゃ」をいただく習慣はとても理にかなっています。夏の収穫から追熟でどんどん栄養価と旨みが増して食べごろの「かぼちゃ」は、甘くほっこりと美味しいだけでなく、βカロテンを多く含む野菜で野菜不足になりがちな冬の私たちの健康に大きくかかわっています。
本日はそんな食べるとうれしい「かぼちゃ」に加えて、むくみや消化機能の改善に良いとされる「かぼちゃのタネ」のお話です。

かぼちゃの国内生産は北海道がNO1。ホクホクと甘い栗カボチャ
かぼちゃの国内生産は北海道がNO1。ホクホクと甘い栗カボチャ

「かぼちゃ」の名前の由来は、どこの国由来かご存知でしたか?

カンボジアから伝来したので、なまって「かぼちゃ」。
かぼちゃは16世紀ごろ(1532~55年)にポルトガル人によりカンボジアの産物として日本に伝えられました。
かぼちゃは当初、カンボジアの瓜ということで、かぼちゃ瓜と呼ばれていましたが、のちに瓜が取れてかぼちゃと呼ばれるようになったのです。
かぼちゃは他にも、南瓜、唐茄子、ぼうぶらとも呼ばれています。
南瓜(なんきん):日本に持ち込まれるかぼちゃが中国の南京の港から持ち込まれたため
唐茄子(とうなす):唐の国からやってきた茄子という意味
ぼうぶら:ウリ科の植物を意味するポルトガル語「abobora」ボウブラに由来、九州地方に多い
冬至には「南瓜(なんきん)」だけでなく、地方によっては、こんにゃく、レンコン、うどんといった「ん」(=運)がつく食べ物をいただくところもありますね。

小豆を一緒に煮ると冬至に食す「いとこ煮」に
小豆を一緒に煮ると冬至に食す「いとこ煮」に

おさらい!βカロチンの効能

かぼちゃに多く含まれるβカロチンは体内でビタミンAにかわります。
・皮膚や粘膜の保護、強化
・免疫力を高める
・眼精疲労をおさえる
・肌、爪、髪を健康に保つ
・呼吸器系を守る
免疫力低下で発症する病気を抑える効能があり、風邪予防にもとっても効果的です。
かぼちゃにはルテインという栄養も含まれているのですが、このルテインは緑黄色野菜に多い栄養素です。
目にとてもよく、眼球内で強い抗酸化作用を発揮し、視力低下や目の病気を良くする効能があります。
蒸してホットサラダ、ガーリック炒め、ポタージュ、ニョッキ、コロッケ、グラタン、かぼちゃ粥、そぼろ煮、てんぷらに。マフィンやプリン、お団子などのスイーツもいいですね、たくさんのレシピで楽しみたいものです。

切り口はまるで菊のようなキクカボチャ
切り口はまるで菊のようなキクカボチャ

ペポカボチャ、西洋かぼちゃ、日本かぼちゃ!

世界中で栽培されているかぼちゃ、品種は非常に非常に沢山あります。
このうち、現在日本で栽培されているものは大きく分けてペポかぼちゃ、日本かぼちゃ、西洋かぼちゃの3種類。
そのうち、【ペポカボチャ】は、比較的淡白な味で、「金糸瓜」(そうめんかぼちゃ)や「ズッキーニ」なども実はこの部類に入ります。若取りをして食べるタイプで冬にいただくかぼちゃとは種類が異なります。
冬にも登場するかぼちゃは、【西洋かぼちゃ】と【日本かぼちゃ】の2種類。
現在私たちが口にするかぼちゃは、ホクホクした「栗かぼちゃ」や「坊ちゃんかぼちゃ」を代表とする【西洋かぼちゃ】が好まれ、市場の約9割をしめています。
「雪化粧南瓜」などいかにも和風な白っぽいかぼちゃも実は【西洋かぼちゃ】。
一方、【日本かぼちゃ】は、見た目はごつごつしたものが多いですが、ねっとりとしたものや水分が多いものなど煮物などに適しており、割烹の高級食材として使われるものもあります。
宮崎の「小菊カボチャ」や「黒皮かぼちゃ」は有名ですね。その他にも、京都の伝統野菜に「鹿ケ谷カボチャ」があります。また、金沢の伝統野菜では「打木赤皮栗かぼちゃ」、本の肥後野菜には「春日ぼうぶら」があります。
他にも、最近岐阜県高山市で伝統野菜として取り上げられていた「宿儺かぼちゃ」などもあります。
ぜひ食べ比べをしてみたいものです。
皮付近の栄養価も高いので、皮をところどころ剥いておくと煮崩れを防いで、味が染みやすくなります。はじめから調味料を加えて調味します。揚げ物はお酒や塩で下味をつけておくこと。これがかぼちゃレシピがおいしくなるちょっとしたポイントです。
近年話題の「バターナッツかぼちゃ」も見かけと名前によらず「日本かぼちゃ」です!皮はうすくむいて調理しますが、コクがあり人気です。もう試しましたか?

楽器のような形のバターナッツカボチャ。中はしっかりコクがあるかぼちゃです
楽器のような形のバターナッツカボチャ。中はしっかりコクがあるかぼちゃです

タネまでスゴイ!手作りパンプキンシード

かぼちゃの種は日本ではパンプキンシードの名称でパンやお菓子に使われていますね。
中国では塩味で皮つきのままで売られ身近な食材としてよく食されています。
漢方では、咳を止める作用、水の偏在を治す作用があります。
「南瓜子」や「南瓜仁」と呼ばれ、むくみをとったり、消化機能を改善したり、お乳を出やすくするのにも使われています。
さらに果肉の約5倍ものカロテンを含み、ビタミンEやリノール酸などの栄養素も果肉より多く含まれています。
タネは捨てないで、洗って天日干しにして、フライパンで炒ってオリーブオイルや塩をまぶせばおつまみになります。海外では種も調理するのは一般的なようです。簡単にオーブンやトースター、電子レンジを使う方法もたくさんインターネットに掲載されています。丸ごと無駄なくいただけるなんて素敵ですね、ぜひお試しください。
古来、冬至は極限まで弱まった太陽が復活する日、すなわち「復活の日」とされてきました。
古来朝廷では盛大な祝宴を催したといわれています。
かぼちゃの明るく元気な色が、そんな太陽の色ともイメージが重なりますね。
どうぞパワーあふれる冬をお過ごしください!
(参考)
野菜料理 婦人之友社
自然ぐすり 森田敦子著 ワニブックス
旬の食材百科 WEBサイト

白い種はそのまま食べてもいいですが、殻をむくと緑のパンプキンシードになります
白い種はそのまま食べてもいいですが、殻をむくと緑のパンプキンシードになります