教団からの「暴露」の恐怖から逃れるには

 しかし、これだけではありません。二つ目の恐怖心こそ、もっと怖いものです。それは、恐ろしいまでに徹底された報連相です。すでに述べたように、教義において神さまの前にいっさいの隠しごとをしてはならず、報連相は必須です。

 それに、神さまに近い上の存在(アベル)から与えられた命令は神さまの言葉と思っていますので、教団から与えられた使命に対しては信者は手を抜くことをしません。議員たちは自分のために必死になって選挙活動をしてくれる彼らを見て感動することでしょう。

 内部にいたころ、教団の集会に訪れた議員の話や幹部からの「選挙応援を受けた人たちは、本当に教会員の人たちの活動に感動している。それで統一原理が本当にすばらしい教えだと思ってくれている」という話も聞いています。当時、それを聞き、日本の政治家たちが統一教会の教えを受け入れており、政治と宗教がひとつになる神の国の実現の日も近いという希望を抱いたものです。

 しかし、ここで考えてほしいのは、彼らは指示に忠実であるとともに、報連相における報告も忠実なのです。報告とは自分のことだけでなく、身の回りで起きたことすべてを報告します。つまり、政治家がより多くの信者スタッフや信者秘書を受け入れれば受け入れるほど、その議員の性癖や人間関係、さらに表には出せないような裏の情報のすべてが収集されてしまうのです。

 一見すると、彼らは口が堅く、人がいいように思えるかもしれませんが、それは表向きだけで、裏ではすべての情報が報連相によって教団側に流れています。だから、旧統一教会の信者団体とのつながりが長く、深い議員の事情などは、より知られている恐れがあります。

 内情を知られているために、教団側からの暴露を恐れる気持ちもあり、きっぱり「縁を切る!」と言えない歯切れの悪い言葉につながっているのではないかと私は見ています。これが二つ目の恐怖心です。

 私たち信者も、旧統一教会を離れて教義を捨てれば、「事故にあう」「病気になる」「地獄に行く」などと言われて恐怖心を持たされました。しかし、自分がしてきた過去の出来事に向き合い、教団が教え込んできた恐怖心と戦いながら、なんとかそれらを乗り越えて脱会を果たしています。

 かたちは違えども、教団と決別することへの恐怖心が議員たちにあるとすれば、それを払うことは容易ではないことはわかります。しかし、それに蓋をすればするほど、教団の思う壺にハマってしまうことになります。

 恐怖心を払うためには、被害を受けてきた人たちの姿をしっかり見ることです。おそらく政治家の地元にも、必ず霊感商法の被害者がいるはずです。また、違法伝道によって信者になった人もいるでしょう。まずは、そうした被害者の声に耳を傾けてください。そして、自分がかかわってきたことにより、どれだけ多くの人の被害拡大につながってしまったのかを認識してください。

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