鉄道に乗車した際に、最も触れる時間が長く、見ることが多い風景は「座席から見た風景」だ。座席の善し悪しやインテリアは旅の楽しさに直結するし、「その車両が製造された時代の風景を想像できるタイムマシン」だと思う。

 そんな「座席鉄」の筆者がさまざまな電車の座席を紹介する「日本鉄道座席史」。今回は「581・583系寝台電車」の各種座席・寝台を取り上げる。2019年現在は寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」以外の定期列車が消滅した形の「寝台列車」。だが、「座席鉄」として、もっとも興味深い鉄道車両はやはり寝台車である。
 寝台車に乗車するということは、必然的に「列車内で一晩を過ごす」ということであり、接客設備に長時間接することができるからだ。

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写真・文/安藤昌季