フェイスブックをはじめ、ツイッターやミクシィなど、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が私たちの生活に欠かせないものになって久しい。だが、一方で「情報漏洩(ろうえい)」や「炎上」などSNS発のトラブルも後を絶たない。

 今春、大手メーカーに就職した木村卓也さん(21、仮名)は、入社式で北海道支社への配属を言い渡された。最初は東京本社かと期待していたのに、「なんだ地方か…」。そんな軽いガッカリ感が、木村さんをツイッターに向かわせた。

〈北海道にとばされちゃいましたw〉

 だが、そのつぶやきを配属先の先輩がチェックしていた。

「北海道は左遷部署かよ」

 その後の木村さんへの風当たりがかなり厳しくなったのは言うまでもない。

 企業の人事に詳しいマイナビ研修企画統括部課長の山田功生さんは、「実名で登録しているSNSは、社内の先輩や上司にも見られていると思ったほうがいい」と話す。日記感覚でアップしたサークル仲間とハジケている写真や、お酒を飲んでシャレでやった悪ふざけ…。すべて見られている可能性があるというのだ。

 あるIT関連企業の人事担当者も、採用するかどうかを判断する前に必ず応募者のSNSのチェックをするという。

「実名で検索すると、だいたい8割の学生のSNSはみつかります。私自身は、違法行為やあまりにモラルに反したものでない限りはSNSでの行いを理由に採用を見送ることはありません。しかし、知り合いの人事担当者は、フェイスブックの書き込みを見て、心の病気を抱えているんじゃないかと疑い、採用を取りやめたと言ってました」

AERA 2013年8月26日号