書評『三國連太郎、彷徨う魂へ』宇都宮直子著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

三國連太郎、彷徨う魂へ 宇都宮直子著

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生田はじめ書評#話題の新刊

 2013年に亡くなった俳優三國連太郎の生涯をノンフィクションライターが描く。「家族のようなもの」といわれた著者だけあって、エピソードが強力で飽きさせない。

 三國の戦争嫌いは筋金入りだ。召集令状が来たものの逃亡。捕まり静岡から出征するが、戦地の中国では一度も鉄砲を撃たなかった。「一発でも撃てば、敵はそこを狙って、集中的に撃ってくる」から。のちに「飢餓海峡」で人を殺したのち逃げる主人公を演じて伝えたかったのは「死にたくなかった。生き延びたかった」という戦争体験で身についた思いだったという。戦争を美化する映画には出なかった。

 34歳のとき出演した「異母兄弟」では老人役を務めるため抜歯した。役に関して一切妥協しなかった。「強欲は無謀に等しい」など、人生の名言も続出。(生田はじめ)

週刊朝日  2020年5月8-15日号


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