『ユニクロ潜入一年』が話題を呼んだ著者の原点回帰といえるルポ。神奈川県にあるアマゾンの日本最大の物流センターにアルバイトとして潜入し、巨大企業の裏側を探った。

 アマゾンには『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』以来15年ぶりに再潜入。「おかわり厳禁」の社員食堂では、ご飯を山盛りにする人が多い。注文商品を集める作業で1日20キロを歩くハードワークのためだ。フロアで倒れている人を見ても、携帯電話は持ち込み厳禁のため、上司の判断を仰がないと救急車を呼べない。救急車到着まで1時間を要したくも膜下出血の事例では、対応が早ければ救えたかもしれないと著者はいう。

 宅配ドライバーの実情、フェイクレビューの実態などもあぶり出される。可視化される巨大企業の内側は独裁国家を思わせる。(朝山実)

週刊朝日  2019年11月15日号