各種メディアで活躍するアメリカの生物学者が、人体をめぐる欠陥、すなわち「デザインの不備」について、ユーモアたっぷりに論じている。

 魚だったときには合理的だった神経の配置が、体の構造が変わってもそのまま引き継がれたため、現在では無駄な迂回路を形成している例。壊れた無数の遺伝子を意味もなくコピーしつづけるDNA。ヒトが他の生物と違って、多様な食物を摂取しつづけなければならない訳。いずれも、進化の過程で生じた不具合が継承されていることが原因。

 ヒトは科学技術などによってそうした弱点を克服してきたが、飢餓が当然だった時代にデザインされた体に栄養を与えすぎたことから、糖尿病などの疾患も生まれている。

 人体が実はまだ進化の途上にあるのだということを思い知らされる。(平山瑞穂)

週刊朝日  2019年10月11日号