医療系まとめサイト閉鎖で注目を集めた、不確かなネット情報=「偽ニュース」。元新聞記者のジャーナリストが増加の背景を考察した。

 1995年、ニュースサイトの開設を祝し新聞社のメディア事業局でくす玉が割られるシーンから本文が始まる。以降ネット界を牛耳ったヤフー、LINEなどの試行錯誤を追う中で、浮かび上がるキーワードは「無料」だ。ポータルサイトやSNSの登場以降、ニュースはマスメディアに限らず誰もが配信・享受できるものへと変わった。情報発信にともなう責任の境界は次第に曖昧になり、その間隙をついて「偽ニュース」が広がっていった、と著者は分析する。偽ニュース対策の協議会が設立予定で、今後取り組みの本格化が予想される中で、問題の概要がいち早く知れる一冊。

週刊朝日 2017年3月31号