ゆるキャラやプレミアム商品券など、注目を集める施策の現実はどうか。本当に有効な地方創生とは。法人を設立し、東京・早稲田の商店街や本市でまちづくりを進めてきた著者が、処方箋を書いた。

 地域の中で継続できる計画の重要性を、本書は訴える。補助金頼みの豪華な公共事業が、予算の打ち切りや収入不足により失速、破綻する例をいくつも見てきたからだ。自力で稼ぎ続ける覚悟なしに、雇用や売り上げを維持できる事業は成り立たないのだ。

「合意形成」志向の落とし穴も説く。新たな案には反対者がつきものだが、課題を解決できる計画があるならまず始め、結果をもって合意を取り付けるべきなのだ。先駆者は時に「孤独」だという。地元の反発を受けつつ、自らリスクを取ってきたからこその思いが透ける。 

週刊朝日 2017年2月10日号