少年が来る

話題の新刊

2017/01/12 13:24

 1980年5月18日、韓国の南部光州では、民主化を叫ぶ学生や市民が軍によって無惨に殺される事件が起きた。小説家ハン・ガンは、この事件が人々の心に残した傷痕を繊細な筆致で描き出した。
 軍に親友を殺された少年、なぜ殺されたのか、誰に殺されたのかも分からず死んでいったその親友、なぜ自分だけが生きているのか苦しむ人、拷問の記憶から逃れられない人。著者は事件後の人々に焦点を当て、彼らの癒えない傷を見つめる。
 だが、これは光州だけの問題ではない。このような暴力は光州事件の前にも後にも繰り返されてきた。済州島で、関東と南京で、ボスニアで、全ての新大陸で。人類の「遺伝子に刻み込まれた」ように繰り返される残忍性と、私たちは向き合わなければならない。二度とこんなことが起きないように。 (すんみ)

週刊朝日 2017年1月20日号

少年が来る

ハン・ガン著/井手俊作訳

amazon
少年が来る

あわせて読みたい

  • 東浩紀「真相究明で名誉を回復 その過程重視する韓国と日本の違い」
    筆者の顔写真

    東浩紀

    東浩紀「真相究明で名誉を回復 その過程重視する韓国と日本の違い」

    AERA

    9/14

    『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨が体現した「悪」の二面性と「完璧」への憧憬

    『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨が体現した「悪」の二面性と「完璧」への憧憬

    dot.

    8/8

  • 遊郭の鬼「堕姫」はなぜ鬼舞辻無惨に寵愛されたのか 「好まれる鬼」と「消される鬼」の境界線

    遊郭の鬼「堕姫」はなぜ鬼舞辻無惨に寵愛されたのか 「好まれる鬼」と「消される鬼」の境界線

    dot.

    2/19

    累、堕姫、猗窩座…冷酷な「鬼舞辻無惨」に愛でられた鬼たちの共通点とは

    累、堕姫、猗窩座…冷酷な「鬼舞辻無惨」に愛でられた鬼たちの共通点とは

    dot.

    4/18

  • 広瀬隆「韓国映画『タクシー運転手』に対する熱狂と感涙」
    筆者の顔写真

    広瀬隆

    広瀬隆「韓国映画『タクシー運転手』に対する熱狂と感涙」

    週刊朝日

    7/3

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す