書評『フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち』マイケル・ルイス著/渡会圭子、東江一紀訳 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち マイケル・ルイス著/渡会圭子、東江一紀訳

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江田晃一書評#話題の新刊

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

マイケル・ルイス著/渡会圭子、東江 一紀訳

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 米国の株式では2008年前後から異変が目立ち始めた。投資銀行のディーラーが顧客の注文の株を買おうとするとモニターから売り物が消え、想定より高値でつかまされるケースが多発した。その謎を解き明かすために、ウォール街の二軍の存在だったカナダロイヤル銀行のブラッド・カツヤマと仲間たちが立ちあがる。本書は彼らが巨大な詐欺システムの全容を暴き、公正な取引所の立ち上げを目指すノンフィクションだ。
 カツヤマたちは「フラッシュ・ボーイズ」と呼ばれる超高速取引業者の存在を炙り出す。まき餌に投資家を食いつかせ、ナノ秒(10億分の1秒)単位で先回りして大量に株を買い占める。彼らにしてみれば一般投資家はカモに過ぎない。精力的なディーラーに代わり、無機質なシステムが金融街の主役になり、その波は日本をものみ込みつつあることがわかる。
 映画化もされた『マネー・ボール』で知られる著者は権力や権威に挑むアウトサイダーを描いては当代一の書き手。生き馬の目を抜く金融街に残る一分の良心を照らし出している。

週刊朝日 2014年11月21日号


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