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LEDと曲げわっぱ 進化する伝統デザイン
話題の新刊
2014/03/12 17:36
伝統工芸の技を取り入れ、現代的な空間や生活用品を提案するデザイナーが、これまでの仕事を引き合いに出しつつ、新たな「和」の発想を著した。現代に即した工芸の可能性、まず「やる」と決めて表現を模索する職人らの思い、さらには光や石をつかった日本の伝統的な美意識の応用にも触れる。
著者は、東京・日比谷のザ・ペニンシュラ東京の空間をデザインするとき、左官職人や漆職人らに声をかけ、内装の主要部分に伝統工芸の粋を集めた。ベージュから黒へとグラデーションをなす床の間の左官壁。消防法対策として、通常よりもはるかに薄く削いだ杉板を編んで難燃性の下地に取りつけた、客室の網代天井。エントランスロビーは従来の日本の美意識をふまえつつも新しさが宿る。
漆の風呂桶など突拍子もなく思える品もあるが、漆は軍艦に塗ったほど水に強く、塗りの技法の中には鉄砲玉でも穴を開けられないものがある。息を止め、張りつめて命と引き換えに壁を塗るという職人の話も盛り込み、彼らの腕を信じ、表現を引きだすきっかけをつくる仕事の魅力を説く。
※週刊朝日 2014年3月21日号
LEDと曲げわっぱ 進化する伝統デザイン
橋本夕紀夫著


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