書評『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』シェリル・サンドバーグ著/村井章子訳 |AERA dot. (アエラドット)

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《ベストセラー解読 (週刊朝日)》

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 シェリル・サンドバーグ著/村井章子訳

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まずは家事の分担!

 セクハラ、パワハラ、モラハラに続き、最近はマタハラというのがあるそうだ。マタニティー・ハラスメント。妊婦いじめである。妊娠したと告げられた上司や経営者がキレる。ギリギリの人員でやっているのだから、産休や育休なんてもってのほかというわけだ。21世紀になったのに、いまだに女性が働く環境はよくない。家事や育児や介護などについて、男女の負担の差は依然として大きい。ひどいのは日本だけでなく、アメリカも五十歩百歩らしい。
『リーン・イン』の著者、シェリル・サンドバーグはフェイスブックのCOO(最高執行責任者)。成功者の自慢話か、体験をもとにした自己啓発書かと思って、眉に唾して読みはじめたのだが、まったく違う。アメリカ社会において女性が仕事をしていくことがいかに困難か、そしてそれを突破するにはどうしていけばいいかを考える本である。
 書名の意味は、「(風に逆らって)前に進め」というような感じか。あるいは「(遠慮しないで)身をのり出そう」かもしれない(もっと分かりやすい日本語の書名をつけられなかったのだろうか)。
 優秀な女性たちは、自分たちの優秀さについて、一種の罪悪感を抱いているという。(愚鈍な男たちより)優秀でスミマセンと。男女差別が社会の隅々まで染みついていて、人びとは生まれた時から刷り込まれている。女性はまず、この内なる敵と闘わなければならないのだ。
 ある人が、女性のキャリアアップに男性ができることを問われ、「洗濯」と答えたというエピソードには笑うと同時に深く納得した。社会的な制度をどうこうすることも大事だが、その前に家事の分担をということだ。男性は自分を働かせすぎる会社や社会と闘わなければならない。男性であるぼくには耳の痛い話ばかりだ。
 べつに少子化なんてどうでもいいけど、働きたい人が働けない世の中は、つまらないと思う。

週刊朝日 2013年8月9日号


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