■総合型選抜の東北大、ゼミの武蔵大

 2位の東北大は、地元進学校との関係が深い。同大は国立大のなかで総合型選抜(旧AO入試)での募集人数が多く、21年度の総合型選抜の募集人員は657人。同じ旧帝大でみると、京都大113人、大阪大190人で、その数は突出している。国立大学協会は15年、推薦入試、AO入試などの入試の定員を数年以内に全体の30%とする方針を決めたが、当時同協会長を東北大総長だった里見進氏が務めていた影響も大きい。

「東北大の広報担当者は、優秀な高校生に総合型選抜で入ってもらうために、地元の進学校に積極的に出向いているのです。入試の話のみならず、教養科目の充実度なども含めて説明しており、『面倒見が良い』という印象が高校に与えられています。また高校生向け体験授業の評価も高く、高校と大学の信頼関係が育まれているのだと思います」

「ゼミの武蔵」を掲げる武蔵大(3位)は、1年次から4年間、ゼミを必修とする制度で知られている。首都圏の大学ではトップだ。

「武蔵大では、ゼミの指導教員が、次のゼミの指導教員に、学生一人ひとりについて申し送りをしています。この学生はこの分野に関心があるから、関連イベントを勧めてみてほしい、といったことも共有しているのです」

 ゼミは必修以外にもある。「学部横断型ゼミナール・プロジェクト」は、経済学部、人文学部、社会学部の学生たちが連携。希望学生は学部のゼミと並行して半年間、このプログラムにも参加する。

■コロナ禍で注目 新たな評価軸

 こうした大学の評価は一朝一夕では培われない。ところが、今回のランキングではある「異変」が起きたという。14位の中央大(昨年48位)と、18位の立教大(同ランク外)の急上昇だ。背景には何があったのか。

「新型コロナウイルス感染症が拡大し始めたころに、いち早く対応を行ったことが評価されたのだと思います。大学のコロナ対応はニュースでも報道されたため、それを見た高校の先生の反応が評価に表れたのだと考えられます」

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立教大、中央大のコロナ対応は