
一日の新規感染者数が1万人を超えるなど新型コロナ禍は深刻さを増すばかりですが、2008年に「M-1グランプリ」を制したお笑いコンビ「NON STYLE」にも大きな影響が出ています。昨年開催予定だった20周年記念ツアーも延期に。「これまでの芸人生活で一番ヒマになった」とも言いますが、それでも前を向き続けられるのは井上裕介さん(41)、石田明さん(41)が声を揃えて「地獄だった」と語る09年の経験があるからでした。
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井上:21年の芸人生活で、今が一番ヒマだと思います。コロナ禍で仕事は確実に減りました。ロケはほぼなくなりましたし、スタジオでも大人数の“ひな壇”もありませんし。コロナ前の仕事量を100としたら、今は20~30くらいだと思います。逆に、今までメッチャ働いてたんやなとも思いました。
石田:ただ、その中で新たな動きもありました。YouTube用にネタを作ることも始めまして。過去のネタをもう一回掘り起こすというか、今の僕らが昔のネタを少しアレンジしてやったりもしてるんですけど、昔のネタをやることで自分たちの変化も感じますし、老いを感じるところもあります。漫才の台本は僕が書いているので、自分が書いた台本ながら「昔はこんな言葉を井上に言わせてたんだな…」と粗さを再確認したり(笑)。
登場するなり、井上に投げキッスをさせたりもしてますからね。そういうムーブをやらすだけやらせた上で、僕が「キモイ」というひと言で切り捨てるわけですから、今見ると、なんとヒドイことをしてるんやと思います(笑)。よく付き合ってくれていたなとも思います。
井上:昔のネタをやることで、改めて21年やってきたことを振り返るというか、そういう部分も感じてます。
ここまででいろいろな時期がありました。心底、限界を感じた時もありましたしね。一番しんどかった時期でいうと、オレは2009年です。08年に「M-1」で優勝した翌年です。今、仕事が減ってると言っても、それなんかよりも圧倒的につらかったですね。