大規模接種東京センターの受付前(撮影/吉崎洋夫 JMPA代表取材)
大規模接種東京センターの受付前(撮影/吉崎洋夫 JMPA代表取材)

 東京・大手町にある新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場。予約システムの欠陥から始まり、5月24日の接種開始には、予約なしでも接種が出来てしまうなど多くの混乱が見られたが、今はどうなっているのか。現場からルポを伝える。

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「テキパキ対応していて、非常にスムーズに接種できて良かったですよ」

 こういうのは6月9日、大規模接種東京センターでワクチンを接種した男性(78)だ。男性は正午12時の予約だったが、11時半に会場に到着。そのまま会場に入り、ワクチン接種、経過観察を経て、30分程度で会場から出てきた。

「2度目の接種は7月10日になった。孫とは2年も会えてませんが、もうちょっとの辛抱ですね。友達と会うのも楽しみです」

 接種開始から2週間が経過し、運営のほうもだいぶスムーズに進むようになっているようだ。受付には断続的に人が入ってくるが、特に滞留することなく、会場の中へと消えていく。接種会場は4フロアに分かれており、接種希望者はそれぞれのフロアに割り振られ、接種をしていくことになる。

 この日、報道陣に公開されたのは、10階の接種会場。予診票を確認する場所では、10個の机が並べられスタッフが予診票が正しく記入されているか確認していた。その後、予診、ワクチン接種、15分から30分の経過観察と続く。経過観察の場所に人が溜まっているが、それ以外の場所では人が待っているというようなことはほとんどなかった。

 河野修一接種隊長はこう胸を張る。

「毎日ミーティングをして、一日の業務の中でどこに問題があったのか話し合って解決している。例えばイスの置き方一つとっても待つ人が増えないようにブースのすぐ後ろに設置して待ち時間を短縮する配慮をしたり、ブースの数を時間帯によって増やしたり減らしたりすることで、円滑に接種ができるように日々検討、努力しています」

 防衛省によると、6月7日から13日までの予約について、7万3500件の枠はすべて埋まったという。菅義偉首相肝いりで始まった大規模接種も順調に進んでいるように見えるが、その実態は違った。

スタッフは丁寧に予診票を確認していた(撮影/吉崎洋夫 JMPA代表取材)
スタッフは丁寧に予診票を確認していた(撮影/吉崎洋夫 JMPA代表取材)
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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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大量の予約枠が余る事態に