「カルビ」と名付けられたミニブタ(提供)
「カルビ」と名付けられたミニブタ(提供)

 動画配信サイトYouTubeに「100日後に食われるブタ」というチャンネルがある。自宅で飼育するミニブタの様子を配信していて、ミニブタが飼い主と戯れたり、散歩したりする姿は、見ていてとてもほほえましい。だが、この「カルビ」と名づけられたミニブタは100日後に食べられてしまうという。その狙いは何か、本当に食べるのか――飼い主のA(35)さんとチャンネルを運営する会社のS社長を直撃した。

【動画】飼い主と戯れるミニブタ「カルビ」はこちら

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――YouTuberになったきっかけを教えてください。

A 約10年サラリーマンをしていましたが、2年ほど前にマコなり社長さんやイケダハヤトさんといったビジネス系YouTuberが人気を集めているのを見て、動画の需要がこれから高まると考えて、フリーの動画編集者に転身しました。そこで出会ったのが、S社長です。

S社長 弊社は教育事業を展開しています。主に動画編集やプログラミングなどITスキルの講座などを提供しています。そこで動画編集の講座を受講していたのが、Aさんです。今はAさんのほうで飼育と撮影、編集をしていて、弊社のほうでディレクションやマーケティングなどをやっています。

――自宅で撮影しているようですが、ご家族はいますか? 

A 結婚しています。ミニブタを買って来たときは、事前に何も話していなかったので、とても驚いていました。家族でお世話をしています。視聴者の皆さんと同じで、本当に食べるのか、食べないのか、どっちなんだろう、という目線で飼っています。

――ミニブタの「カルビ」について教えてください。

A 今年2月27日に生まれた男の子です。今は2・3キロ、100日後には倍くらいの大きさになっていると思います。頭がよくて、トイレも覚えました。名前を読んだら、ついてくるし、懐いてくれている。かわいいですね。

――「視聴者からは食っても食わなくても批判されるの確定」といったコメントも寄せられていますが、この企画の狙いは何でしょうか。

S社長 いま流行っているSDGs(持続可能な開発目標)の中に、食品ロスをなくそうという目標があります。教育の現場や企業など様々な取り組みがありますが、その取り組みの意義を十分にPRできていないと見ています。楽しんでもらいながら、食品ロスに関して自分たちの行動を見直すきっかけをつくってもらいたいと思い、企画しました。私たちが食べているものの中にある命の尊さを考えてもらいたいと思っています。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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