大型商業施設・銀座シックスはほぼ全店が休業。人通りは少なかった(撮影/國府田英之)
大型商業施設・銀座シックスはほぼ全店が休業。人通りは少なかった(撮影/國府田英之)

 両施設ともホームページでは「生活必需品の売り場以外は休業」という趣旨の説明をしている。

 銀座コアに入っている大手手芸用品「ユザワヤ」で手作りマスクの生地を買ったという40代の女性は、「手芸用品が生活必需品かと言われると、微妙に思う部分もあったので休業になっちゃうかなと思ってたんですが、ネットで確認したらやっていたので良かったです」と話した。

 中央通りを離れ、有楽町方面へ歩いた。

 商業施設「マロニエゲート銀座1」では「生活必需品を扱っている」として5~9階の東急ハンズだけが営業し、ファッションや飲食店は休業。隣の「マロニエゲート銀座2」では、ユニクロ、ニトリ、石井スポーツなどが営業していた。

マロニエゲート銀座1。東京ハンズだけが営業していた(撮影/國府田英之)
マロニエゲート銀座1。東京ハンズだけが営業していた(撮影/國府田英之)

 一方で、すぐ近くの「銀座インズ」ではファッションや雑貨店はすべて閉まり、飲食店だけが営業していた。

 東急ハンズにビジネスバッグを見に行った近くに勤める30代の男性会社員は、こう語った。

「たまたま通りかかって、あ、やってるんだと。ちょっと驚きました。マルイ(有楽町)でも見たかったんだけど、向こうはやってないですからね。必需品ってものがそもそも何なのかってことなんでしょうけど、同じようなものを売っている店が開いてたり閉まってたり、差が出ているのはおかしいことだと思います」

 銀座の商業施設などに店舗を展開するアパレルメーカーの女性社員は、「どうして必需品の判断を百貨店や施設側に判断させる形にしたのか。それが一番の疑問です。線を引く側も嫌だろうし、引かれた側も死活問題ですから反発しますよ。政治家が、悪役になりたくないだけじゃないのか」と憤り、こう語った。

「飲食店への支援ばかりに注目が集まっていますが、アパレル業界もすでに多くの店が窮地なんです」

 29日、東京の感染者は1000人を超えた。休業要請が長引いた場合、なんらかの施策を打てなければ反発はさらに強まるかもしれない。(AERAdot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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