百貨店・松屋銀座の入り口は閑散としていた(撮影/國府田英之)
百貨店・松屋銀座の入り口は閑散としていた(撮影/國府田英之)

 緊急事態宣言に伴い、政府は百貨店など1000平方メートル超の大型商業施設に休業要請をした。また東京都は独自に、それ以下の規模の中小商業施設などにも休業を要請した。

【東京屈指の繁華街・銀座方面は一体どうなってる? 写真の続きはこちら】

 ただ、どちらも「生活必需品売り場」を除外したことで、“不公平”な事態が生じている。何が「必需品」かの線引きが曖昧なため、例えば衣料品や雑貨を扱う店が、同じ繁華街で営業していたり休業していたり、といった状況だ。

「全部のお店を閉めちゃってるの?」

「地下のお化粧品売り場と、食品売り場はやっております」

「お化粧品売り場はやってるのに洋服はダメなの?」

「食品とお化粧品に関しては日用の、生活必需品ということで営業させていただいております」

 百貨店や商業ビル、ファッションの旗艦店が数多く建ち並ぶ東京・銀座の「中央通り」。28日の午後、百貨店「銀座三越」の前では、中年の男性とスタッフらしき男性がこんなやりとりをしていた。

大きなマスクをつけた三越前のライオン像(撮影/國府田英之)
大きなマスクをつけた三越前のライオン像(撮影/國府田英之)

 政府の休業要請を受け、銀座三越は25日から地下1階の化粧品売り場と、地下2、3階の食品売り場だけが営業し、ファッションや雑貨の店舗はすべて休業している。三越の中にある飲食店は、それぞれの判断で営業と休業に分かれている状況だ。

「すぐそこのブランド品や洋服の店はやっているのにね。デパートも本音は閉めたくないだろうけど、かわいそうだよね。菅さんは、しっかり協力金を出してあげないと」

 男性は苦笑いした。

 中央通りを歩くと、百貨店「松屋銀座」も三越と同様に、化粧品と食品売り場を除き、大半を休業していた。ファッションの店や飲食店が入る大型複合商業施設「銀座シックス」は、ほぼ完全に休業していた。

 一方、その銀座シックスの向かいでは、1階から12階まであるユニクロの世界最大規模の旗艦店「ユニクロ銀座店」が営業していた。さらに歩くと、有名ブランドの旗艦店や、ベビー服、靴店など開いている店は多くある。

 商業ビルを見ると、「銀座コア」では、ファッションや雑貨の店が多く開いていた。一方で「イグジットメルサ」に入ると、同じジャンルの店はほとんどが休業していた。

著者プロフィールを見る
國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

國府田英之の記事一覧はこちら
次のページ
手芸用品は必需品かどうか…