ストロボをガツンと焚いて撮影した硬派なストリートスナップ 写真家・山崎弘義

撮影:山崎弘義
【写真】山崎弘義さんが撮った「90年代の東京」
展示作品は1990年から96年にかけて東京の繁華街を中心に撮影したスナップショット。
山崎さんは作品を制作するにあたり、過去のベタ焼き350本ぶんをすべて見直した。
「撮影当時とは写真の見方、選び方が変わっていますね。昔はあまり面白くないと思っていなかったのが、逆にすごく面白く見えた」
ストロボをガツンと焚いた感じの硬派なストリートスナップからは、やはり、時代を感じる。雑踏を歩く人々の髪型や服装の違いはもちろんのこと、上野や浅草の写真からは、撮影したのはすでに平成なのだが、猥雑な「昭和の空気」が伝わってくる。

撮影:山崎弘義
90年代、山崎さんはこのシリーズを数回展示し、最近では2019年に写真展を開いた。30年前と最近では、作品を見る人の反応がまるで違うという。
「昔は『どうやって撮った』『トラブルにならなかったか』とか、そういうことしか聞かれなかったんですけれど、いまではプリントの隅々までよく見てくれます。撮った自分が言うのもおかしいんですけれど、写真の持つ記録性を体感した、というところはありますね」
山内道雄さんの背中を追って、ストリートスナップを撮影
これまで私は何人もの写真家のストリートスナップの撮影現場に密着してきた。そのたびに、彼らの強い精神力に圧倒された。
山崎さんも「ストリートスナップは、『作品をつくらないと』という強迫観念がないと、続かないですよ」と言う。
そんな山崎さんがストリートスナップに強く引かれるようになったのは20代後半。新宿駅周辺でとんでもないスナップ撮影の達人を目にし、度肝を抜かれたのがきっかけだった。のちに土門拳賞を受賞する写真家・山内道雄さんである。

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