人はひとりじゃなくて、絶対に交わりあって生きている 写真家・島田真希 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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人はひとりじゃなくて、絶対に交わりあって生きている 写真家・島田真希

(撮影:島田真希)

(撮影:島田真希)

写真家・島田真希さんの作品展「人、人、人、I’M HERE」が12月3日から東京・銀座のキヤノンギャラリー銀座で開催される(大阪は2021年1月14日~1月20日)。島田さんに話を聞いた。

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 タイトルが「人、人、人、I’M HERE」なので、人ばかりを写したスナップショットの作品だと思っていたら、まったく違った。

「それが面白いと思って」と、島田さんは言い、いたずらっぽく笑う。

「シンプルに、もやっといこうと思った」という出だしの写真は、青い水の中を泳ぐ観賞魚。続いて、交差点を渡る人々、電車の車内、雨に濡れた路面、風に揺れる大きなハスの葉、高速道路を走るトラック……。

 撮影場所も山形県・蔵王のスキー場から、三重県の浜辺と幅広い。風の向くまま、気の向くままに旅して写した、ロードムービーのような印象を受ける。

 人が写っていない写真も多いが、そこにも人の気配が感じられ、月並みな表現だけれど、癒されるような気持ちになる。そんな感想を島田さんに伝えると、ふふっと、表情をゆるませた。

「それにしても、これまで追い続けてきたバリ島の作品とは撮り方が全然違いますね」

「違います。全然違います。バリ島の作品は、人々のなかに入り込んで、入り込んで、という感じで写したんですけど、この作品は第三者的な視線で撮っています」
(撮影:島田真希)

(撮影:島田真希)

伝えたいのは何か見失っているもの、忘れていること

 実は島田さんにとって、今回の写真展は国内で写した初めての作品という。2008年に大阪芸術大学写真学科を卒業後、インドネシアのバリ島で3年ほど暮らした。帰国後も島に通い、そこに根づいた神々と人々との強い結びつきを写してきた。

 興味深いことに、現地に住んでいたころよりも日本から通うようになってからのほうが作品づくりをさらに掘り下げるようになったという。

「被写体と響き合う、感じるというか。自分から求めているという感じ。写真を撮ってどうするか、それを人に伝えるにはどうすればいいか、とか。そういうことを求めるようになった気がします」

 島田さんは年に1、2回バリ島に通いながら、国内でもスナップ写真を撮影してきた。

 2年前に「DAY AFTER DAY-神、人、人、人-BALI INDONESIA」を発表したころ、「日常生活のなかで人を写すことで、何か見失っているもの、忘れていることを伝えられないかな」と、思った。

 しかし、それをどう写し、表現していけばいいのか、「すごく難しい」と、悩みもした。

 バリ島の場合は、持ち前の猪突猛進ぶりを発揮して、人の海に飛び込んでシャッターを切ればいい。そこへ入り込めば入り込むほど、目にしたことのない珍しい風景と出合うことができる。それなりに大変なことではあるけれど、作品づくりの道筋はシンプルだ。「バリヒンズーの神々と人々とのつながり」というテーマも明確だし、かたちにもしやすい。

 しかし、日常のスナップ写真で何らかのメッセージを伝え、作品をまとめ上げるのはずっとハードルが高い。

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