あらい・ぴろよ/漫画家、イラストレーター。著書に『ワタシはぜったい虐待しませんからね!』『“隠れビッチ”やってました。』など
あらい・ぴろよ/漫画家、イラストレーター。著書に『ワタシはぜったい虐待しませんからね!』『“隠れビッチ”やってました。』など

 特別なことなんかしなくていい、常に「子ども第一!」じゃなくていいから、少しでも子どもの人格を大事に考えてほしいと思います。毎日ごちそうじゃなくても、貧乏でもいいんです。本当に子どもが求めているものを、子どもを見て、見つけてほしいなと思います。

――親自身が「こうすべき」と思う理想や巷にあふれる情報ではなく、ということですね。

 そうです。私の両親はそれぞれ間違ったやり方でしたが、本人たちなりに愛情をかけて育児したつもりだったとは思いますよ。父はPTA会長をやっていて、外では立派な父親そのものでした。それは見栄もあるだろうけど、子どものことを思ってのことだっただろうし、逆に、金を出してあれこれ面倒も見てやったのになぜ慕われないんだという憤りを持っていたとも思います。でも子どもが本当に求めているのは、抱っこしてほしい、手をつないでほしい、一緒にご飯を食べて「おはよう」「お休み」を言いたい、歯磨きをしてほしい……そういう普通のことです。

 父自身、虐待を受け育ったようで、愛され方も愛し方も知らなかったのだと思います。幼いころは父も同じように“普通のこと”を親に求めていたはずなのに、何かをしなければ・価値がなければ愛されない環境で育ってしまったが故に、なんでもないふれあいが家族の絆を作るこということを理解できなくなってしまったのでしょう。

 わんぱくな子や繊細すぎる子などいろんな子がいて、親にとっては「ちょっと面倒くさいな」と思うような性格でも、その特徴を伸ばしてあげればちゃんと生きていけると思うんです。正解は絶対に子どもの中にあるから、肩の力を抜いてほしいなと思います。

――あとがきでは“絶縁”の方法についても書いていますね。

 実際に絶縁することは叶いませんが、親とどう付き合っていくかは選べます。弁護士に相談すれば、扶養義務の範囲や相続放棄の仕方もわかります。自治体の窓口では、住民票の閲覧制限や一時保護など受けられる支援を知るこができます。インターネットでも情報を得られます。私と同じように親から虐待を受けた人たち、逃げられずに苦しんでいる人たちのヒントになれば嬉しいです。ご自身にあった、親から限りなく遠い場所へ行ける方法あることを見つけてほしいです。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・金城珠代)