
■品格高い一生もの 京漆器
食卓で使える一生ものと言えば京漆器。1661(寛文元)年に漆器道具商「象牙屋」の名で創業。以来およそ350年、脈々と伝統を受け継ぎ、技術を活かした京漆器を作り続けている「象彦」では、名品から普段使いまで幅広いアイテムが充実しています。寺町通に面する店舗にて、お雛様のお祝いのお膳やお茶の時間を華やかに演出してくれる丸盆と、手の中の収まりがとても良いふっくらとした蕾のようなカップを見つけました。軽くて丈夫な漆器のカップは、口当たりが優しく、木のあたたかみを感じ、軽くて持ちやすいので、日常使いとしてコーヒーやお茶を入れて味わってもぴったりです。艶やかな光沢と滑らかな質感から、品格の高さが感じられ、お祝いごとを一層引き立ててくれます。お手入れをしながら、永く使い続けていける一生ものです。

■男雛と女雛のような愛らしさ ひちぎりを味わう
1893(明治26)年創業の「末富」は、下京区松原通に面する老舗和菓子店。二代目山口竹次郎氏と池田遥邨画伯により作られた“末富ブルー”と呼ばれている鮮やかですっきりとしたブルーの包装紙がとても印象的です。遊び心にあふれ、夢があり、心に響くお菓子は、京都人を魅了し続けています。雛祭りの節句に欠かせない和菓子と言えば、ひちぎり。ヨモギが入ったお餅を引きちぎって丸め、くぼみをつけ、その中に餡をのせた素朴なお菓子は、平安時代から伝わる由緒ある「戴餅(いただきもち)」に由来するもの。桃色と白、二色並べるとまるで男雛と女雛のような愛らしさ。桃色のきんとんの中には粒餡、白いきんとんの中には白餡が入っており、口どけの良い繊細なきんとんからは、山芋の風味がふわりと広がります。