早朝の河口湖畔で太極拳をする中国人旅行者。スナップは出会いの記録だ(撮影/清水哲朗)
早朝の河口湖畔で太極拳をする中国人旅行者。スナップは出会いの記録だ(撮影/清水哲朗)

Q3:ピントに関してお聞きします。AFまたはMFのどちらを使用していますか? また、どこに合わせるか、被写体を探しているときの設定は?

清水:AFで、ターゲットはシングル、中央1点。

Q4:絞り、シャッター速度、ISO感度の設定はどうしていますか?(撮影モードの選択とその理由)

清水:絞りは、レンズ開放値からF5.6の範囲でほぼ使用(低速撮影以外、F8よりも絞ることはない)。シャッター速度は、被写体の動きに合わせて変更することがありますが、基本は「絞り優先」、ISO200で算出されるシャッター速度で撮影しています。

Q5:被写体との距離はどうしていますか?

清水:カメラを構えずに被写体と対峙したときにドキドキする距離。

Q6:被写界深度の調整を含め、背景はどう扱っていますか?

清水:ボケ表現はあまりせず、背景は「大切な情報」として構図をきっちり、はっきりと見せることが多い(舞台を作ってから、演者の動きに期待するイメージ)。被写界深度の深さは、マイクロフォーサーズ機を使う理由の一つです。

Q7:街中での撮影で見知らぬ人を撮影する(した)際、どうしていますか?(肖像権についての考えがあれば併せてお聞きいたします)

清水:事前に声をかけて何をしているか話をしてから撮ることもあれば、撮影後に話しかけることもある。相手が急いでいるときには会釈をしたり手を上げたりしてアピール。肖像権については、逆の立場で自分が撮られたときに不快だと思う場合は撮らない。後ろめたいと思うときには最初から狙わない。仮に、被写体に何らかの悪影響を及ぼすイメージを撮ってしまった場合はセレクト時に思いとどまればよいだけの話。撮る側の正当性はほぼないと思っているので、指摘されても反論はしない。

Q8:撮影のコツやテクニックはありますか? できるかぎり具体的にお願いします。

清水:撮っているのがわかるように堂々とカメラを構え、ギリギリまで肉眼で被写体の動きを確認し、撮るときは一瞬で。何枚も撮らない。

写真・文=清水哲朗

◯清水哲朗(しみず・てつろう)
1975年生まれ。横浜市出身。日本写真芸術専門学校卒。写真家・竹内敏信事務所入社後、23歳で独立。2005年『路上少年』で第1回名取洋之助写真賞受賞。「日経ナショナル ジオグラフィック写真賞2013年」ピープル部門優秀賞受賞。2014年、日本写真協会賞新人賞受賞。2016年、写真集『New Type』で第16回さがみはら写真新人奨励賞受賞。

※『アサヒカメラ』2019年11月号より抜粋