朝の放射霧が生み出す 光芒と紅葉の撮影 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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朝の放射霧が生み出す 光芒と紅葉の撮影

特集「紅葉と秋の風景を撮る」(3)

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辰野清dot.#アサヒカメラ
長野県・カヤの平高原。ここは放射霧がよく出る場所として知られている。光に満ちあふれた紅葉の森の空間に光芒がすっと差し込んだ。特別な空間を憧れの目で見ているような感覚で写している。光芒があまりにも強いと、この空間の雰囲気がなくなってしまう。運よく品のよい光が一本差し込んでくれたと思う。この空間を少し離れたところから望遠レンズで写すことで、画面内のさまざまな素材に対して圧縮効果が生まれ、絵画のような雰囲気となった■富士フイルムX-T1・フジノンXF55~200ミリF3.5~4.8 R LM OIS・ISO800・絞りf9.3

長野県・カヤの平高原。ここは放射霧がよく出る場所として知られている。光に満ちあふれた紅葉の森の空間に光芒がすっと差し込んだ。特別な空間を憧れの目で見ているような感覚で写している。光芒があまりにも強いと、この空間の雰囲気がなくなってしまう。運よく品のよい光が一本差し込んでくれたと思う。この空間を少し離れたところから望遠レンズで写すことで、画面内のさまざまな素材に対して圧縮効果が生まれ、絵画のような雰囲気となった■富士フイルムX-T1・フジノンXF55~200ミリF3.5~4.8 R LM OIS・ISO800・絞りf9.3

「風景写真は、『最初の一歩』がいちばん難しい。最初の一歩というのは着眼点」風景写真の作品で問われるのは、いかにほかの人とは違うものを見つけられるか、それは「何を面白がれるか」といっても過言ではない――。『アサヒカメラ』2019年10月号では、62ページにわたって「紅葉と秋の風景の撮影術」を大特集しています。風景写真家の辰野清さんが徹底解説する、天候や時間帯、撮影場所の違いに応じた撮影ガイド。前回の「水辺の紅葉撮影術」に続き、「光芒と紅葉」を抜粋して紹介します。

【「光芒の光のシャワーを浴びながらリアルな瞬間を写しとった」作例はこちら】

*  *  *
 上の写真のように、光が筋となって現れる現象を光芒と呼ぶ。光芒は、周囲が霧に包まれ、上空が晴れているときに現れる。

 光芒が発生する要素、霧のひとつは、「放射霧」と呼ばれるもので、晴れた日の早朝に発生しやすい。夜間、地表の熱が上空に逃げる「放射冷却」現象によって地表付近の気温が下がり、空気中の水蒸気が冷やされ、霧が発生する。

 霧が雲海に由来する場合もある。盆地や谷筋に発生した雲海が山裾を徐々に上がってきて、雲頂が撮影地点に達して霧に包まれたときに光芒が現れる。日の出から1、2時間くらい後のことが多いので、標高の高いところで朝日が昇る様子を撮影した際、下のほうに雲海がたっぷりとあれば、その動きを観察して、しばらく待ってみるのも手だ。雲海が上がってくれば、光芒が撮れるチャンスがある。

 いずれの条件でも霧と晴れの境目に身を置かないと光芒は現れない。完全に霧に包まれてしまっても、晴れてしまってもだめなので、光芒を撮影する際には周囲の地形や霧の動きをつかんでおく必要がある。

 放射冷却も雲海も、地表と上空との間に十分な気温差のある4、5月ごろから10月ごろに発生しやすく、特に7月から9月にかけての発生が多い。11月になると地表がかなり冷え、放射冷却現象は起きづらくなる。

 霧の状態によっても左右されるが、光芒が現れるのはごく短時間で、通常は数十秒、長くても2、3分で消えてしまう。そのため、霧の動きに気を配り、場合によっては移動しなくてはならない。


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