東京暮らしをする上で、毎朝の通勤・通学ラッシュはなかなか避けられない問題だ。春から首都圏で新生活が始まった人にとっては、なんであんなに混むのかと、早くもうんざりしてしまっている人もいるに違いない。
東急田園都市線と半蔵門線で、横浜市青葉区から都内まで通う30代会社員はこう訴える。
「急行に乗って都内まで出ているのですが、遅延などが発生すると、青葉区からでもあまりの混雑で乗れなくなることがあります。各停(各駅停車)だとまだ乗れるので、その場合は利用しますが、都心に近づくとどの列車もノロノロ運転のぎゅうぎゅう詰めなのは一緒です。かといって他の路線の選択肢もないですし、なんとかならないのかと本気で思います」
そんな一方で、こんな声もある。都営大江戸線で通勤する30代女性はこう話す。
「朝のラッシュの時間帯でも、基本的に時間通りに来ますし、駅員に押し込まれるといったような混雑を体験したこともありません。乗った駅から座れることさえあるぐらいです」
朝の通勤・通学ラッシュといえど、その実態は一括りにはできない事情がありそうだ。では、どんな路線が混んでいて、どんな路線だとあまり混んでいないのだろか。その目安となりそうなのが、「混雑率」に関するデータだ。これは国土交通省が毎年出している統計で、各路線の最混雑区間と、その乗車率を公表したものだ。最新の2016年度のデータの中から、首都圏を走る鉄道・モノレール・新交通システムなど83路線を抽出し、混雑率の高い順に並び替えた。
トップは、東京メトロ東西線(木場→門前仲町)が199%と踊り出た。2位は総武線各駅停車(錦糸町→両国)で、198%と僅差で続いている。3位は小田急電鉄(世田谷代田→下北沢)の192%、4位は横須賀線(武蔵小杉→西大井)の191%、5位は南武線(武蔵中原→武蔵小杉)の188%となった。横須賀線と南武線の2つは、武蔵小杉を軸として混雑している様子もうかがえる。また、2008年に開業した東京都荒川区と足立区を結ぶ日暮里舎人ライナー(赤土小学校前→西日暮里)が188%と、同じく5位につけている。
1位と2位が、都内東部や千葉県から都内を結ぶ路線が続いているのが特徴だ。それもそのはず、江東区や江戸川区、千葉県市川市や船橋市などはこの10年右肩上がりで人口が増え続けているからだ。若い世代が多く、待機児童問題を抱える自治体も多い。