AERAムック『大学院・通信制大学2024』より
撮影/高野楓菜(写真映像部) ヘアメイク/原島未唯 スタイリスト/樫田径奈
AERAムック『大学院・通信制大学2024』より撮影/高野楓菜(写真映像部) ヘアメイク/原島未唯 スタイリスト/樫田径奈
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2023年3月にAKB48を卒業した武藤十夢さんは、AKBグループ初の大学院卒アイドルだ。大学院に通いながら、合格率5%とも言われる気象予報士試験にも合格。好評発売中のAERAムック『大学院・通信制大学2024』で、がむしゃらに努力した3年の日々を振り返ってもらった。

【図版】元AKB48武藤十夢さんの学びと資格取得の軌跡はこちら

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 16歳で女性アイドルグループAKB48の12期生となり、第一線で活躍し続けてきた武藤十夢さん。大学院卒、気象予報士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)、防災士など多くの肩書を持ち、クイズ番組などでも活躍する。

 さぞかし地アタマと要領がいい人なのだろうと思いきや、本人は「とんでもない」と全否定する。

 「大学院は本当に、本っ当に大変で、途中で何度『私には無理だ』『もうやめてしまおう』と思ったかわかりません。肩書が多いのも、私の自信のなさの表れです」

■自信がない、武器もない 迷い続けた結論は大学院

 「私の場合、研究したいテーマがあって大学院に進んだわけではありませんでした。院への進学を決めたのも、大学卒業の直前。この時期は、とにかく迷い続けていました」

AERAムック『大学院・通信制大学2024』より
撮影/高野楓菜(写真映像部) ヘアメイク/原島未唯 スタイリスト/樫田径奈
AERAムック『大学院・通信制大学2024』より撮影/高野楓菜(写真映像部) ヘアメイク/原島未唯 スタイリスト/樫田径奈

 AKB48では、選抜メンバーの中に自分の名前がないこともあった。

 「自分にはアイドルとしての才能はない。だったら、それ以外の武器を増やそう」

 そう考えて受験した気象予報士試験も落ち続けた。就職活動もした。アナウンススクールに通い、テレビ局の採用試験も受けたが、内定はもらえなかった。

 「てんやわんやでしたね(笑)。自信もないし、武器もない。何もない状態をなんとかしたくて模索した結果、大学院に進んだというのが正直なところです。大学で所属していた金融系のゼミの教授に相談し、面接を受けて、修士課程に進学しました」

 高校生でAKB48に入り、ずっと学業と仕事を両立させてきた武藤さん。「大学院もなんとかなるだろう」と思っていたが、大学院はそれまでとは勝手が違っていた。

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高校や大学と違った大学院