山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「月経が女性の日常生活に及ぼす影響」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 先月のある日の夜ことです。「これ以上我慢できない……」と思ってしまうほどの下腹部痛に襲われました。10数年ぶりに経験した、ひどい月経痛です。

 その日の午前中から月経が始まり、次第に月経に伴う下腹部痛、つまり月経痛がひどくなっていきました。薬局で購入した痛み止めを内服するも効かず、座っているのが辛くて寝込んでしまう程でした。

 そもそも、月経痛はどうして起きるのでしょうか。月経中に増殖する子宮内膜には、子宮の収縮を促すプロスタグランジンという物質が含まれています。このプロスタグランジンの分泌過剰によって子宮収縮の増強がもたらされる結果、痛みを引き起こしてしまうと言われています。

 月経痛をはじめとした月経にまつわる不都合についての調査報告があります。ヨーロッパ 6カ国 (オーストリア、ベルギー、フランス、イタリア、ポーランド、スペイン) の 18 歳から 45 歳までの女性 2883 人を対象に行ったオンライン調査によると、対象者のうち45.8%がホルモン配合避妊薬を使用しており、54.2%がホルモン配合避妊薬を使用していませんでした。そして、ホルモン配合避妊薬を使用している女性群に比べて、使用していない女性群では、月経期間がより長く(5日vs 4.5日)、月経量がより多い(16% vs 8%)ことがわかりました。

 また、ホルモン配合避妊薬を使用している女性群も、使用していない女性群も、どちらも骨盤痛、腹部の膨満感やむくみ、気分の落ち込みやイライラを訴えていましたが、その割合はホルモン配合避妊薬を使用していない女性群で有意に高かったといいます。そして、選択できるのであれば、両群の57%の女性が、月経間隔を長くすることを選ぶと回答しました。そう希望する理由として性生活、社会生活、仕事、スポーツ活動などが挙げられたといいます。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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